師匠 #1

お題「私の師匠」

師匠と呼べる人は3人いる。

今日は全く書くことが思いつかなくて、お題スロットを回したのだが、実にいいお題が来た。

3回分のネタができた。


1人目は中学・高校時代に習っていた、茶道の師匠。茶道のみならず、華道・書道・三味線・琴などを指導していた、和のスペシャリストだった。

自分の母親が、その師匠に華道を習っていて、その流れで自分が茶道の体験入門をし、和菓子の魅力でなんとなく本格的に習うことになった。

自分は部活が終わった後、わりと遅くに稽古に行っていたので、他のお弟子さんとかぶることが少なかった。だいたいマンツーマンで教わることになり、時間もあったので、みっちり3手前ぐらい稽古をつけてくれた。

他の師匠についたことがないのでよくわからないが、師匠は厳しい人だったと思う。稽古中、所作を間違えると、壊れた柄杓の柄でぴしゃりと打つ、という感じの指導方法だった。

ただ、その熱心さが仇となり、自分が東京に出るために茶道をやめてからちょっと後に、お弟子さんが一斉にやめる、ということがあったらしい。母親はその詳細を教えてくれないが、かなり嫌な思いをしたのはなんとなくわかった。そんなことがあり、茶道をやめてから師匠とはあっていない。


その師匠のことで一番思い出すのは、何と言っても初釜だ。

初釜の日は、師匠が主人として弟子をもてなしてくれる日である。その日は仕出しとかではなくて、師匠が懐石料理を本当に作る。そして、それを供して、その後、濃茶と薄茶の手前を披露してくれる。

弟子は12人ぐらいいたので、半端な労力ではない。年始に師匠のその姿を見て、尊敬できる人であることを毎回確認していた。

他の2人の師匠には悪いが、尊敬できる、という意味では唯一の師匠である。