午後2時、船橋の某レストランで遅めの昼食をとる。
隣のテーブルでは、女子3人が食べ終わった食器を前に、ひたすらドリンクバーを消費している。自分が席に着いた段階で、彼女たちの前には儀式かってぐらいティーバックが整然と皿の上に並んでいる。
自分の隣で向かい合って座る2人が何やらしゃべっている間、奥に座っている女がひたすらスマホを見ている。ちょっと失礼なんじゃない? と全く関係のない自分が思うぐらいだったが、まあ今のヤングはこんな感じなのかもしれない、と思い込んで飲み込む。
しばらくして、自分のはす向かいに座っているメガネの女が席を立つ。メガネの女がトイレの方に消えた瞬間、隣の女が「うざいね」と言う。ギョッとして隣をチラと見ると、奥の女はスマホから目を離さず、「うん」と言う。
もう気が気じゃなくて、その女たちの話に真剣に聞き耳を立てようとしたが、メガネの女が戻ってきた途端に退店する。
何を話していたんだろうか、もっと真剣に聞いていればよかった。
隣にいながら、女たちの話をよく聞いていなかった理由は向かいのテーブルにある。
向かいのテーブルにはファミリーが座っている。両親、そして、幼稚園に入るか入らないかぐらいの男の子。
男の子は通路に用意された子供用の高い椅子に座っていて、泣いたり喚いたりしてやかましい。さらにそのうち、椅子に立って、そこから飛び降りたりして遊ぶに至る。そこまで騒いで、ようやく父親があやしだす。
「スマホ育児」どう考える―――便利な子守ツールの実態と懸念 - Yahoo!ニュース
最近これを読んだばかりであるが、父親は男の子の前にスマホを置いて、ワンセグを見せてあやしている。ああ、こういうのマジであるんだ、と思ったが、よくみると、スマホには競馬場が映っている。
しかも、その日は男の子の誕生日らしく、店員がケーキを持って、バースデーソングを歌いながらやってくる。父親が男の子を抱き上げて脇に座らせるが、スマホが見られなくなったことで、男の子が泣き出す。
結果、両親の笑顔に包まれる中、男の子はケーキを一顧だにせず、ずっと競馬を見ていて、それを店員が記念撮影している。
そんな中、メガネの女が席を立つ。