赤飯 #1

出勤のためのルートが大きく分けて2つある。

北ルートと南ルート。

全く面白みのないネーミングだが、そういうことになる。

気まぐれが起きない限りは1日置きにルートが変わる。


南ルートは仕出し料理屋のそばを通るのだが、いつももち米を蒸す甘い良い香りがする。

おそらく赤飯をこしらえてる。

このもち米の香りを嗅ぐために南ルートを回っていると言っても過言ではない。


それぐらい赤飯が好きではあるし、おにぎりとかコンビニで買って食べれば良いとは思うが、アニバーサリー的なことがないときに赤飯を食べることに後ろめたさを感じる。

実家に住んでいた時は、結婚式とかの引き出物でもらうものであり、あるいはでかいせいろで蒸してこさえるものであって、気軽に食べられるものではなかった。

赤飯に対してはありがたみとともにある。

その刷り込みが今もある。


なので今日も香りだけで我慢し、自分はパンを食べる。