交通量調査 #2

学生の頃、同じ寮に住んでいる友人と3人で、交通量調査のバイトに申込む。

バイト料はそれなりに高いが、丸一日拘束されるため、自分はあまり乗り気ではなかったのだけれど、他の友人二人がノリノリだったため、押し切られてやることになる。


バイト当日、天気予報は雨で、これは最悪だ、と思っていたところ、友人の一人がバックレる。

部屋のドアをノックしても、返事がない。

居留守なのか、本当にいないのか、少しの間探りを入れるが、よくわからない。

出発の時間が迫り、仕方なくもう1人の友人と2人だけで出発する。

バイトのピックアップ場所に向かう電車の中では、バックレた友人に対する呪詛の言葉が続く。


ピックアップ場所にたどり着き、友人と登録を済ませ、バスに乗り込む。

その頃、雨は本降りになる。


バスはやがて、交通量調査を行う場所にたどり着く。

激しく降る雨が窓を洗い、ベイブリッジの観覧車のネオンが瞬くように輝いている。

ああ、ついにやんのか・・・、と思っていたところで、あまりの悪天候にスタッフからバイトの中止が告げられる。

バスはピックアップ場所に舞い戻り、バイト料の半額ほどが支給されて解散となる。

バスに乗っただけで、かなりの額がもらえ、友人と自分はウキウキで寮に帰る。

こんなことは2度とないから、交通量調査はもうやめよう、という話をする。


バックレた友人はやはりバックレていたらしく、次の日の朝、食堂にいる自分と友人を見て驚いて何か言っていたが、2人でガン無視する。

バックレた友人とはそれ以来疎遠になる。