千葉の幹線沿いを歩いていると、歩道に漫画の単行本のページが散乱している。
見覚えのある絵柄で、やがてカバーを見かけ、タイトルが「BE FREE」であることを確認する。
果たして、江川達也である。
道に迷ってパンくずの変わりに撒いたのか、それともつっかえ棒で立て掛けられた籠まで導こうとしているのか、そのどちらかはわからないが、歩道に沿ってページが割と整然と散らばっている。
その落ちてるページを見ながら、江川達也の絵って見ればわかるぐらいユニークな絵柄なんだな、と思う。
やがて十字路に差し掛かり、落ちているページが途切れる。
だが、信号待ちで止まったところで「東京大学物語」のカバーを発見する。
ここで切り替わるかね? と思い、不意を打たれ、心は鷲掴みにされる。
しかし、先の予定があるので、そのまま立ち去る。
もしその時、時間があったら東京大学物語の追跡を開始し、最終的に籠の中に閉じ込められたに違いない。