アド・アストラを観る

映画『アド・アストラ』公式サイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

恒例の割引デー映画観賞であるが、前回に引き続き、今回もあまり積極的に観たいものがなく、割と消極的な選択でアド・アストラを観に行く。

対抗は、「玉城ティナが観たい」という理由で惡の華であったが、自分は監督の井口昇とはなかなか分かり合えないので見送る。


アド・アストラは何もかも中途半端な感じである。

ハッとするようなフレッシュな映像があるわけでもなく、出演者はそつのない演技をし、雑でぼんやりした話が2時間程度続く。

近未来を描いているのだが、どうも科学的な考証がちゃんとしてるとは思えない。

「これオーバーテクノロジーだよな」という部分が入り混じっていたり、「軌道計算どうしてるの?」とか疑問に思う部分が多い。

特に潜入した宇宙船から元の宇宙船に戻る件は、絶対に無理があると思う。


物語も最終的に「これは一体なんの話なんだろう」としか思えない。

基本的には、知的生命体を探しに深宇宙に旅立ち、その後消息を絶った父を追う、という話である。

筋としては悪くないと思うが、実際は雑なピンチを雑に切り抜ける話が延々と続き、その合間に主人公が父親に対する心象を語る、という映画になっている。

ただそのピンチと心象の間にドラマ上の相関関係がないので、映画としてはどっちつかず、という感情しか持てない。

とにかく気になるのは因果律の乱れで、主人公が劇中で行ったことを考えれば、そのエンディングは夢落ちでないと説明がつかないぐらい捻れている。

オープニングのピンチで実は死んでいて、あとは死ぬ直前に見た夢でした、ぐらいであれば納得がいく。


はっきり言って何も残らない映画であった。