箱を開ける

部屋に掃除機をかけるだけで済まそうと思っていたが、部屋の隅にそういえば下手したら10年ぐらい開いていない段ボールに気がついてしまう。

中身を全く覚えていない。

もう気になってしまったので、掃除機を中断し、開放する。


中には、昔買った家電の領収書やら、映画やゲームでもらった絵葉書やら、自転車の説明書やら、家の契約書やら、雑多な書類が詰まっている。

今となってはほぼいらないものっぽいので、大きなゴミ袋を持ってきて、確認しながら捨てることにする。


箱の中身は大体ゴミ袋に収まったが、もちろん捨てられなかったものもある。

例えばライブのチケット。

自分はブレイク前のAKB48のライブを見ていたのだが、2006年1月のことだったらしい。


例えば手紙。

親からの手紙はもちろんのこと、今は疎遠になってしまった人の年賀状とかもなんとなく捨てられない。


そして、祖母の仕送りの袋。

学生時代、毎月祖母からコメやら食品が届いていた。

その際に一言のコメントと共に1万円が入っている封筒が同封されていた。

その封筒。


祖母はもう亡くなっている。

こんな意外なタイミングで、意外な形で、祖母と再会できると思っていなかった。