1917 命をかけた伝令を観る

映画の割引デーが訪れ、その日公開されている映画のラインナップの中で、まあ観るとしたらこれかな、というかなり消極的な理由で1917を観ることにする。

ちなみに次点は「高畑充希が観たい」という理由で「ヲタクに恋は難しい」なので、消極的にならざるを経ない選択肢の中ではかなり有力な方である。


「全編がワンカット」ということは知っていて、そういうのを売りにする作品があまりよかった試しがなく、なので消極的になっていたのだが、果たしてこの映画もイマイチな出来であった。

翌日の朝までに作戦中止命令を前線部隊に届ける、というミッションを受けた2人の兵士をワンカットで描く、という映画であるが、とにかく物語が甘い。

2人の兵士たちの行動がとにかく腑に落ちない。

一応訓練を受けた兵士としてその行動は妥当なのか、とか、それをやってはダメだろう、と思う部分が多々ある。

主人公に関しては作中何度も死にそうなピンチを迎えるのだが、「ラッキー」以外のなにものでもない理由で助かっていく。

語りたい物語のために物事の全てが進行していくのだが、そうなった理由は最後の最後で分かる。

驚いたことに物語の組み立てが甘い理由がちゃんとある。

個人的にはそれを最初に語っておけば、印象はもっと違ったんじゃないかと思う。


件の「ワンカット」に関しても、映像的にここでカット割ったな、と割とわかる。

逆に、途中からどこでカットを割ったか探してしまい、常にメタ視点で見ている自分がいる感じ。

映像的には確かに今までのワンカット映画では見たことのないものがみられるのは良い。


ただ、一箇所、ここはどう考えてもカット割ってるだろ、という部分があり、ワンカットって宣伝は嘘なんじゃないかと思う。

さらには時間の進行がどう考えてもおかしな部分があり、映画的にはかなり無理がある。


映像的に現在の映画技術の到達点、という意味はあるのかもしれないが、映画としては首を傾げざるをえない。