そばを食す

近所にあった蕎麦屋が代替わりに伴い、去年リニューアルを行う。

先代はそばだけでなく、うどんやカレーや定食や酒のつまみも出す大衆的な蕎麦屋であったが、リニューアル後は十割そばが売りの本格的な蕎麦屋に変わる。

先代の頃は定食を求めてチョイチョイ行っていたのだが、当代はなんとなく敷居が高い気がするのと、コロナで外食自体あまりしなくなっているせいもあり、足が遠のいている。


今日の昼時、買い物帰りにその店の前を通りかかる。

昼飯は買っていたのだけど、なんとなく今日を逃したらまたしばらく機会がない気がしたので、入ることにする。

昼時はとっくに過ぎていたせいもあるとは思うが、客は1人もいない。

店内は狭くはなっているが、清潔感は恐ろしく高まっている。

以前は小上がりだったところがそばを打つスペースに変わっている。

なんとなくで敷居の高さを感じてビビっていた訳であるが、自分の勘は間違っていなかった。

どのメニューも大体1000円は超えていて、1番安いもりそばが800円する。

まあせっかく来たんだからと、1500円ほどの季節のそばを注文する。


正直いうと、「しばらく行かないだろうな」と思う。

調理は適切だと思うし、十割そばであることは偽りなしだと思う。

ただ、十割そばは繋ぎがない分、どうしてもボソボソしてしまうので食感が悪い。

そばの風味もそこまで強くないので、新蕎麦でない限りはつなぎを入れてもいいと思う。

つゆも普通の蕎麦屋とあまり変わらない感じであった。

1500円の料金に見あったそばなんだと思うが、自分は1500円出すんだったら別のものが優先順位の上位に来る。


自分は先代の量が多くて安い店の方が好みであった。

しかし、後をつぐ息子が先代を踏襲したくない気持ちもわかる。

また、大衆的な蕎麦屋を続けるのは今の時代難しいのかもしれない。

蕎麦屋の路線変更に関しては彼らの問題であり、何かいう権利はないのもわかる。

生きているといろんなものが失われていく。

でも失われてしまったことに文句を言うのは違う、というようなことを思う。