映画『CUBE 一度入ったら、最後』公式サイト | 2021年10月22日(金)全国公開
「ヤケドするだろうな」とわかりつつも、「令和の今、CUBEをリメイクする」という素っ頓狂な企画に好奇心を抑えることができず、観に行く。
久しぶりに酷い映画を観たな、という感じである。
原作のCUBEは相当昔に見て、話題になっていた当時もそこまで面白いとは思わなかったし、内容は胡乱になっているが、絶対にここまで酷くはなかった。
最大の問題は脚本で、大筋が全くどこにも共感することができない陳腐な人間ドラマになっていて、トラップが仕掛けられた立方体の迷路から脱出する、というCUBEの核となる設定は単なる舞台装置になっている。
登場人物を極限状態を追い込んでますよ、というエクスキューズのために都合よくトラップが作動しているようにしか見えない。
安全だと思われる部屋でトラップが作動する場面があるのだが、結局のところ何がトリガーだったのかよくわからないなど、演出上の不備もある。
脱出ゲームとしての出来がとにかく悪く、サスペンスが生まれない。
極限状態の人間を描きたいんであれば、迷路のルールをガチガチのロジックで描かなければならないと思うのだが、何もかも緩すぎる。
人間ドラマの部分も非常に安い。
安い死によるイニシエーション、チンケな世代間の対立、過去への贖罪。
なんの工夫も考えもないドラマが続く。
描きたいドラマのために、全てのリアリティーが犠牲になるタイプの典型的な作品である。
役者は頑張ってるし、最後の最後、「こいつなんなの?」という登場人物が「ああ、そういうこと」と思ったところだけちょっと良い。
ただ個人的には少林少女の次ぐらいに酷い映画であった。