エターナルズを観る

エターナルズ|映画|マーベル公式

内容に不安がありつつも、「MCUの新作である」という理由で観に行く。


感想を正直にいうと「悪くなかった」という感じになる。

何しろラスボスであるところの「ティアマット」との対決における、セルシとイカリスの件が非常に良い。

この件を観たときに、ここに向けて物語全体が構築されていたことがわかり、背筋がゾワッとする。

また群像劇としても非常にこなれた作りになっており、観やすい。

その意味でこの作品は成功しているんだと思う。


ただ、映画を観終わった後もエターナルズ自体のことがピンとこない。

7000年にわたり地球を見守ってきた不老の守護者、という実に壮大な設定なのだが、この作品で行われていることは、なんならMCU史上1番泥臭い人間ドラマである。

また劇中にエターナルズ同士のセックスシーンもあって、「エターナルズの愛情表現って結局セックスなのか」とか、「まあ生殖の必要はなさそうだけどな」とか、少し気が散ってしまう。

その一方で人間にオーバーテクノロジーを与えようとしたり、人類を少し見下した部分が見受けられたりと守護者的雰囲気もあり、「結局お前等なんなの?」という疑念が払拭されない。

サノスとの戦いに参戦しなかった理由に関しても、やはり弱いと思う。


1番の懸念点であった、ポリコレへの配慮であるが、自分としてはやっぱり説明不足かなと感じる。

地球を守護するためのチームを編成する際に多様な人種で構成する、というのは別に説明はいらない。

地球のいろいろなところに適応するために多様な人種がいた方が良い。

子供がいる理由もそこに含まれるだろう。

ただ自分の考えがまだ古いせいなのかもしれないが、同性愛者と聾唖者がチームにいる理由がいまいちピンとこない。

耳が聞こえない(あるいは喋れない)理由とか、同性愛者になったきっかけとかが全く語られないためである。

集団の中にそういう人たちがいるのは別に不思議なことでもなんでもないし、普通だったらそんなことを詮索する必要もないと思う。

でも「地球を守る」という壮大な理由でエターナルズを編成したセレスティアルズが「どんなメンバーでも編成できる」という無限の選択肢がある中で、同性愛者と聾唖者を編成した理由はやはり説明されるべきだと思う。


あと1点、ギルガメッシュとファストスの息子が禁断のマルチバースの扉を開けてしまったが、こんなカジュアルにやるべきではないと思う。