現状観たい映画がなく、逆に観たくない映画もなかったので、時間的に1番適当なアイス・ロードを観ることにする。
予告編を見て「まごうことなきB級映画なんだろうな」と予想していたが、実際のところC級映画であった。
今年はCUBEがあるので、かろうじて最下位ではないのだが、まあひどい。
カナダ北部のダイヤモンド鉱山でメタンガスが爆発!
坑道が崩れ落ち、26人の作業員たちが地下に閉じ込められてしまった!
酸素が切れるまで30時間、それまでに救出に必要な抗口装置を取り寄せなければならない。
バカでかい装置の輸送は飛行機にも大型ヘリにもムリ、トラックにしかできないと判明する。
しかも、4月になった今は閉鎖されている最短コース、氷の道〈アイス・ロード〉を通らなければ間に合わない。
映画『アイス・ロード』 公式サイト
という話であり、有体に言えば「恐怖の報酬」の亜流である。
湖に張った、たった80cmの氷の上を30tのトラックが走る。
早すぎると振動で氷が割れ、遅すぎるとトラックの重みで氷が割れる、というのがこの映画の面白味の原泉であるはずなのだが、氷が割れる/割れないの境目が全く腑に落ちない。
例えば作中、氷上でトラックが横転するのだが、氷が割れない。
そこで割れない理屈に関してはある程度飲み込んでもいいという感じなのだが、その横転からのリカバリーで「それは割れるだろ !」というツッコミが5回ほど入れられる。
それに氷が割れる割れない以前に「それで横転からのリカバリーできるのおかしくね?」というツッコミを入れられる。
一事が万事こんな感じで、氷が割れる閾値がブレブレな上に、アクションに説得力がないので全くサスペンスが生まれない。
そもそも、アイスロード上を走るのが映画全体の2割ぐらいで、タイトルとして「アイス・ロード」は適切なんだろうか、という感じもする。
また、この映画のピンチの8割は登場人物の判断ミスから生まれ、残りはしょうもない出来事をさもピンチっぽく見せているだけである。
特に主人公のリーアム・ニーソン演じるマイクは独善的すぎて、それがこの作品のピンチの大部分を招いている。
なんというか、「トランプを支持してそう」という感じがすごくあり、あえてそういうふうに描いている気もするのだが、正直「制作者は何も考えていない」が正解なんじゃないかと思っている。
全体的に物語が壊滅的だし、リーアム・ニーソンもなんとなくやる気があるように思えない。
でも「小学生の頃はこんな映画ばっかりだったな」と懐かしい気分になり、それはよかった。