モービウスを観る

映画『モービウス』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

正直にいうとトレーラーとか見てもあまりアガらなかったのだが、まあアメコミものなので観に行くことにする。

公開土日2日間は洋画1位という微妙な言い回しながら、そこそこヒットしているようである。

ただ、自分が観に行った回はこうやって書き残そうとするぐらいガラガラの入りで、公開週の割引デーの仕事終わりのいい時間で十数人しかいない、というのは失速というか墜落の勢いである。

全くもって日本は本流のMCU以外は本当にプレゼンスがないんだと感じる。


「モービウスは幼い頃から血液の難病を患っており、それを治療するために医者になり、吸血コウモリの血清を投与するという倫理に反する治療法を実行し、結果怪物に変貌していく」という話である。

怪物に変貌した結果、驚異的なスピード・超音波レーダー・飛行能力などを得るのだが、結局のところ「医学の力が暴走した結果コウモリの怪物になる」という部分に無理がありすぎて、話がすんなり入ってこない。

これが魔術だったり、宇宙人の超科学とかだったらまだ納得感があると思うが、現在の医学の延長線上にこのキャラクターを描くのはやはり説得力がない。

まさに「マンガみたい」という感じである。


ストーリーも新鮮味が全くない。

「同じ能力を持った2人が敵味方に分かれて戦う」というのはアメコミ映画でよくある典型的な話である。

1番の問題は同じユニバースに属するヴェノムが同テーマを擦り倒している点で、「同じことをやってどうするんだよ」という感じである。

新鮮味がないだけなら良いのだが、ストーリーがポストクレジットシーンで急激に破綻する。

それをやりたいなら、本編でモービウスの苦悩は描くべきではないんじゃないかと思う。


映像に関しては、なかなか野心的なものを感じる。

驚異的なスピード・超音波レーダー・飛行能力などの描き方に好感が持てる。

上記能力が発動しているときのモービウスの感覚をきちんと映像で説明している。

特に飛行能力が発現するシーンは、空を飛べること自体に無理を感じるにしても、「あ、空を飛べる」というエモーションの部分は十分に伝わってくる。

ここは良い。