仮面ライダーBLACK SUN 公式WEBサイト|仮面ライダーWEB【公式】|東映
どんな感じかちょこっと見てみようか、という軽いノリで手をつけたのだが、結果1日潰れてしまう。
自分は仮面ライダーBLACKをほぼ見ていなかったし、思い入れが何一つないのだが、今作から伝わる昭和ライダー感に心奪われてしまう。
昭和を感じる要因は、映像のトーンとかデザインとか暴力性とかいろいろあると思うが、何よりも変身の意味合いに最もそれを感じる。
昨今のライダーの変身はギミックでしかなく、パワードスーツと同じ意味合いであるが、昭和のライダーは後戻りのできない改造をされ、人間と怪人の間で生きざるを得ない、というところが大きく違う。
そこには苦悩だったり、悲しみだったりがあり、話として表に出てこなくても根底にそういうものが流れているところに昭和ライダーを感じるのだと思う。
その意味では、今作のライダーはあまり表立って内面を描かずに、怪人側でそのテーマを描いていたのが良い。
物語自体に関しては、割と過剰に現代的にアップデートしていたきらいはある。
差別や政治の問題の取り上げ方が安直すぎる気はしたが、今やるならこれぐらいやっても良いだろう。
3人目の主人公たる和泉葵の顛末に関しても、少し思うところはあるが、今っぽいという意味ではこういうふうに書くんだろうなという気はする。
何しろこの作品の見どころは役者陣の演技で、「ちゃんと演技できる人たちが仮面ライダーをやるとこうなるんだ」という感動を得られる。
「毎週放送」「予算の兼ね合い」など、仮面ライダーという作品の特性上、若手・無名の役者が演じざるを経ないのはしょうがないことである。
それは分かりつつも、ちゃんと他の作品で実績を積み上げた役者たちが演ると、画面にいちいち説得力が出るし、生理的な引っかかりを何も感じる事がなく話に引き込まれ、「やっぱ違うわ」という感想になる。
西島秀俊・中村倫也とか「2人とも優男っぽいので大丈夫か?」と思っていたが、全くの杞憂で、2人ともライダーとして見事にハマっている。
「正直ナメめてた、すいません」といった具合である。
その他、脇を固める人たちも実力派揃いで、ルー大柴に至るまで良い。
三浦貴大は他のドラマでの演技が正直アレだったのだが、今作では輝いていて、若干見直す。
端的にいうと、素晴らしく仮面ライダーに耽溺できる作品なので、見ればいいと思う。