外から大声が聞こえてくる。
聞き耳を立てると、どうやら隣のババアが誰かと大声で何かを言い合っているようである。
もう少し様子を伺うと、
「いやもう、新聞なんて読んでないから!」
「そんなこと言わないでもう3ヶ月だけ。助けると思って」
という会話が聞こえてくる。
どうやら新聞の勧誘に捕まったらしい。
それがもう5分ほど続く。
どうだろう、色々面倒だし、隣のババアも迷惑そうなので、助け舟を出そうかとも思ったが、新聞の勧誘自体は違法なことでも何でもない。
そもそも、言い争っているということは不用意に戸を開けてしまっていると思うので、隣のババアの不注意とも言える。
そしてここが1番大きな理由になるが、隣のババアは挨拶しても返事を返さないし、換気扇の音がうるさいと難癖をつけてくる偏屈な人なんで正直関わりたくない。
勧誘員も恫喝的な口調では全然なく、ただしつこいだけみたいなので、静観することにする。
それから10分ぐらいで静かになる。
顛末まではわからない。
ただ隣のババアが断り切れたとは思えない。
しかしまあ、15〜20分ほど粘る勧誘員も大したもので、さほど読みたくないと思っている人に半ば強引に売りつけるような商売を新聞はまだしているんだな、と思った。