遠くから祭りの音が聞こえてくる。
テンツクテンツクやら、ワッショイワッショイだのが入り混じった、「神輿を担ぐ音」と表現のしようがないアレである。
朝ちょっと出かけた時にハッピ姿の人がうろついていたり、交通規制の立て看板が設置されていたので、祭りがあることはなんとなく認識していたのだが、音を聞いて改めて「祭りなんだ・・・」という気分になる。
自分は人混みが苦手なので、そういった催しには極力近づかないことにしている。
しかしながらその音が聞こえていたのが昼をちょっと過ぎたぐらいで、その時まだ昼飯を食べておらず、特に昼食の用意もしていなかったので、「屋台で何か食べる」という誘惑が湧いて出る。
若干考えた後に、外に出ることにする。
自分が通りに出た時、ちょうど神輿が通り過ぎようとしている。
おかげで歩道は芋洗い状態になっており、すんなりとは歩けなかった感じである。
この近所で祭りがある際は、ほどないところにある神社の周りの道路に屋台が建つことになる。
今回の祭りも果たしてだいたい同じところに屋台が立ち並んでいる。
人だかりが億劫な自分が意を決して屋台に行くことにしたのは、まあ食べたいものがあるからで、その屋台はすぐに見つかったのだが、でもとりあえずどんな屋台があるか一通り見てみることにする。
1番興味深かったのは、外国人が結構店員としている、ということである。
おそらくトルコ人が屋台でケバブを売っているのは以前も見たことがあるが、今回はトルコアイスの屋台を初めて見かけたし、東南アジア人と思しき人がタイラーメンの屋台をやっていたりする。
それだけでなく、焼きそばを焼いている日本人兄ちゃんのちょっと奥に、明らかに店員然として東南アジア人が座っていて、「この人も焼きそば焼くんだろうか?」という部分に興味がそそられる。
タイミングが合えば、その東南アジア人が焼きそばを焼いていたのかもしれない。
交代までちょっと見守りたいと思ったが、そこまで暇なわけでもないし、そもそも焼くのかわからないので諦める。
今回は射的の店が結構なスペースで構えていて、他の屋台の3面分を占拠している。
それでもそのスペースはお子様達でほぼ埋まっていて、意外に人気があることが窺える。
ただ景品を見ると、日焼けしてガッピガピに色褪せたPS4の箱が特賞として展示してあって、取らせる気のなさを主張している。
これはどうなんだろう、と思ってしまうが、そこをツッコむのは無粋なんだと思う。
でももうちょっとやる気を見せてほしい。
それと店員のお爺さんが射的スペースに灰皿を置き、お子様達の至近距離で普通にタバコを吸っていて、さすがにそういうのはやめた方がいいんじゃね? とは思った。
かなり前の話になるが、餡餅にものすごくハマっていた時期がある。
いろんな祭りで見かけるたびに買っていたし、1度に2〜3枚食べていた。
ありていに言えば、平たい餃子である。
びっくりするぐらいもちもちの生地で餃子の餡を包み、おそらくそれ用のコテで潰しながら揚げ焼きにしたものである。
とにかく食感が素晴らしい。
噛むとまずパリッとした食感があり、咀嚼するとモチモチで、餡のネットリ感と相まって、存外な口福に浸れる。
味はほぼ餃子なので安定の美味しさである。
屋台は一通り見てまわったので、シャーピンを買って帰ることにする。
びっくりするぐらい値上げが行われており、鍋敷きぐらいのサイズのシャーピンが600円になっている。
以前は300円ぐらいであり、倍になっている。
原価高騰とか事情は理解できるが、そこまで出して食べるものではない。
気になってその後、たこ焼きとか焼きそばの店も再度覗いて価格を確認してみたのだが、だいたい600円ぐらいで統一しているようである。
多分祭りでテンションが上がっているのならそれぐらいは出すかもしれないが、自分はむしろ祭りでテンションが下がっているので、もう屋台で何かを買う気は失せてしまっている。
結局昼飯は抜いた。