日本に16基しかない登れる灯台、野島埼灯台が白浜にあり、見物に行く。
灯台に登るには参観料の300円を払うのだが、持ち合わせの現金が足らず、行きのバス代と参観料を払うと帰りのバス代がなくなる、という問題を抱えていた。
しかしここで奇跡が起こる。
犬吠埼灯台では現金でしか支払うことができなかったのだが、野島埼灯台の参観料はPayPayで払うことが可能であった。
これは嬉しい誤算である。
炎天下の中歩いて帰ることを覚悟していたが、一転帰りのバス代を確保することができて、心の底から「助かったぁぁぁーーーーーー」という言葉が湧き上がってくる。
かなり軽くなった心持ちで灯台に臨む。
犬吠埼灯台の資料館はかなり充実していて、結構楽しめたのだが、野島埼灯台にも規模は小さいながら資料館が併設されている。
見るだけなら5〜6分で見終わる感じで、実際他の客は大体そのぐらいで出ていく。
しかしながら、自分は貧乏性というのもあり、パネルを詳細に読んで20〜30分ほど過ごす。
野島埼灯台の歴史、実際に使われていた機材、灯台の歴史などが展示されている。
令和天皇が幼い頃に野島埼灯台を訪れた、という展示や、皇族から賜った備品など、やんごとなき方々関連の展示が結構厚めなのが目につく。
1番興味深かったのは「灯台業務用船のあゆみ」なるパネルで、「灯台を建設するために利用される船がある」という概念は思ったこともなかったし、その歴史が1850年に始まるとか意外に歴史が深く、そういう船を国家が所有しているというのが非常に興味深い。
ところで展示を見ている最中にふと、燈の守り人のパネルがないな、と思い、その場で検索してみるが、野島埼灯台はまだ擬人化されていないようである。
日本に16基しかない登れる灯台、という希少性を考えればいてもおかしくない気はするがそうでもないらしく、人選(?)の基準がよくわからない。
まあ、今後追加される可能性はあるだろう。
いよいよ灯台を登ることにする。
犬吠埼灯台は階段が狭く、すれ違うのも苦労しそうな感じだったが、野島埼灯台の階段は割と近代的になっており、幅も広く、降りと上りの人たちがすれ違うスペースは十分ある。
なんなら手すりまでついている。
それでも上までかなりの距離螺旋を回ることになり、早足で登っていた自分は少し酔いを感じてしまう。
でもそれは自分の問題であり、ゆっくり登れば問題ないだろう。
展望台に登るととてつもない風景が待ち受けていた。
天気がいいのもあったと思うが、とにかく景色が素晴らしい。
海は言わずもがなであるが、海岸沿いの街並みがとにかくよく、「本当に綺麗な街だな」としみじみ思ってしまう。
展望台自体も通路がゆったり作られていて、犬吠埼灯台で感じたような高所の恐怖は感じない。
展望台の周りを何周もしながら、写真を撮ったり景色を見たりして30分ほど過ごす。
ここ最近訪れた外房の景色の中でぶっちぎりで良い光景で、かなり満悦する。