朝のウォーキングというか、今日はのんびりと散歩をしていたのだが、その途中で気になるチラシが目に留まる。
掲示板に裏表並べて貼り出されていたそのチラシは、ある演劇の公演のものである。
タイトルやイメージビジュアルがかなり目を引くもので、思わず立ち止まって見入ってしまう。
あらすじを読む限り、内容自体はなかなか面白そうである。
しかし、その下にある構成・演出の某氏(個人的には知っている人だが、世間的なプレゼンスはないと思う)のコメントを読んで、一気に気持ちが冷める。
そこには「演者たちにノルマがあるので、できればその人たちから直接買ってほしい」とはっきり書かれている。
さらには「差し入れは花やお菓子ではなく、金銭にしてほしい」という旨まで書いてあり、しかも「金銭」の部分は太字で強調されている。
「ダメだなぁ・・・」と思ってしまう。
そして「いまだにこうなんだ・・・」という気持ちが込み上げる。
以前、といっても数十年前の話だが、当時のバイトの同僚が声優を目指しており、その修業のために劇団に入っていた。
その人に誘われ、付き合いでチケットを買って公演を見に行ったことがある。
完全に彼のノルマを消化するために自分は呼ばれたわけだ。
正直言って、その公演は自分にとって空虚な時間でしかなかった。
それ以来、小劇場などで活動している「よくわからない劇団」の演劇には近寄らないようにしてきた。
同じような状況はその後も何度かあったが、その件で自分は断る強さを持ち得た。
先ほどのチラシの件に話を戻すと、チケット料金が1万円近くと、なかなかの金額である。
帝劇とか明治座とかの公演と比べても、まるで遜色がない。
それだけの料金を取る公演で、演者にノルマを課しているというのは、なかなかの地獄だと思う。
気になるのは、公演のチラシに包み隠さずそんな事情を書いてしまえる感覚だ。
「あなた方が提供しているのは娯楽ではないのか?」と思ってしまう。
舞台裏の生々しい事情をあけすけに開陳されても、こっちはどんな心境で受け入れたら良いのかわからない。
某氏が主催者に対する皮肉として書いているのか、あるいは演劇界全体の感覚が麻痺しているのかはわからない。
劇団がノルマを課してまで公演する事情すら、こっちはよくわからない。
ただ少なくとも、内容は結構興味を惹かれるものだったのに、どうでも良くなってしまった、ということである。