辞めていく人たち #5

同僚が今月末で辞めるらしい。

本人から聞いたわけでなく、会社経由でめちゃくちゃ含みのある言い方で伝えられる。

正直言って、前から人物的にも仕事的にも中々危なっかしい感じではあったので、「ついに」という感じはある。

それでも誰かが自分の領域から旅立っていくのは切ないものである。


まあ、誰かが会社を辞めることは、今まで食べたパンの数の件を持ち出すまでもなく、数限りなく経験してきたことである。

でも今回の彼が今までと違うのは、現在所属する会社はリモートが主体で、ビデオ会議や通話などで交流はあるが直接会ったことが一度もない、というところにある。

自分が会社の面々との関わりを極力避けているというのもあるし、あるいは今後送別会が開かれて直接会うチャンスはあるのかもしれないが、自分はおそらく行かないだろう。

一度も面と向かったことがないまま、関わりだけ残して消えていく。

それでもやはり切ない気分になってしまう。