扉の外の出来事 #1

扉がノックされる。

「すいません」

扉を開けずに「はい」と答えると、レスポンスがない。

そのまま少し間が空き、再度こちらから「はい」と答えると「近所のものです」というアンサー。

まあ名乗らない時点で新聞の勧誘だろうな、とは思ったのだが、「どなたですか?」と泳がしてみることにする。

「近所に店を開いてイベントを行うので挨拶に来ました」とのこと。

まあ頑なに名乗らないあたり新聞の勧誘だろうな、とは思ったのだが、「イベント」というワードに少し引っ掛かりを感じる。

新聞の勧誘イベントって何?

ちょっと興味が出て応対することにする。


扉を開けるとイカつい男たちが居並んでいて、有無を言わさずタオルを渡してくる。

朝日新聞の文字が見える。

ああやっぱり、と思って鼻で笑ってしまう。

その後、男たちは色々勧誘してくるが、けんもほろろに拒絶する。

話を聞いているとイベントとは高校野球のことであり、とりあえず嘘ではない。

その後も拒絶し続けると、男たちは割とあっさり引き下がる。


というか、今週だけで新聞の勧誘が来たのは2回目である。

1回目は扉も開けずに断ったんでどこの新聞かわからないのだが、何か新聞業界でキャンペーンでも行っているのかもしれない。

なんのエビデンスもない憶測ではあるが、そういうことやってるから部数が減り続けてるんじゃないだろうか。