vs ティッシュ配りの男

埼玉のどっかの駅前。

コンビニで飲み物を買って店を出ると、駅に入る階段の前でティッシュ配りをしている男が目に入る。

ちょうど閑散としたタイミングであったらしく、暇を持て余しているのか、ティッシュを渡すイメージトレーニングをしている。

異常にスナップを利かせて渡したり、効率を考えたらありえない角度から手を伸ばしてみたり。

よくわかる。

きっとスタイリッシュな渡し方を探っているんだろう。


ところで鼻水が出そうなぐらい寒かったので、ティッシュをもらうことにする。


自分は男に近づいて行く。

男は自分に気づき、身構える。

自分は目を逸らす。

男はにじり寄る。

射程圏内に入る直前に、自分から男に手を伸ばす。

男はビクッとし、硬直する。

自分は「ください」という。


たまに自分からティッシュをもらいに行く場合があるが、今回みたいにビックリしてくれるケースって意外にない。

なんでその時の自分はドヤ顔をしていた可能性がある。

恥ずかしい。

今日エンカウントした、ティッシュ配りの男は、本当にバイトを始めたばかりなのかもしれない。