劇場で今まで何度も予告編を観たが、正直食指が伸びる内容ではない。
しかしながら最近浜辺美波熱が高まっているのと、浜辺美波の演技をちゃんと観たことがない、という理由で観にいくことにする。
原作が漫画で、アニメにもなっていて人気だというのはなんとなく知っている。
そっちの方でうまくやっているのに実写にする意味がどこにあるんだろう、というのが観る前に気になっていたわけであるが、結論としてはやはり「実写でやる意味はあったんだろうか」と感じてしまう。
登場人物のビジュアルが凄まじいコスプレ感であり、しかも原作のキャラクターのビジュアルを再現できてるとは言い難い。
舞台となる孤児院やその付近のビジュアルは頑張っているだけに、キャラクターたちとの齟齬が最後まで気になってしまう。
折に触れて我に帰ってしまい、単純に映画に入れない。
物語に関してはデスノート系の話だと思うのだが、前提である世界観に無理がありすぎて、話が上滑りしているように感じる。
世界がそういった仕組みであるのなら孤児院の規模はおかしいし、孤児たちがその世界の現実をあっさり飲み込んで団結できるのもおかしい。
孤児院を取り仕切るママとそこから逃れたい孤児たちの頭脳戦的な話が展開されるのだが、監視が緩く、孤児たちの行動が自由すぎてなんの緊迫感も生まれない。
「そんな話をそんなところで堂々とするのか」とか、「そんなところにいたら明らかに怪しいだろう」とか、トラブルの元凶がはっきりしているにもかかわらず、放任しているママがどうしても気になってしまう。
また次々現れるキーアイテムも背景が全くわからず、特に渡辺直美演じるクローネが残したペンに関しては、「なぜクローネが持っていたのか」とか、「最後のアレはなんだったのか」とかが全く説明されないので訳がわからない。
枷から外れるための計画もとにかく杜撰だし、そんなことやるより先にやることがあるだろ、とかいちいち思ってしまう。
そもそもの話だが、この話の起点である世界の真相が孤児たちにバレた、ということが相手にもバレてしまっていて、その上でどの孤児にバレたかはっきりした段階で、取るべき行動は1つしかない気がするのだが、無駄な駆け引きが繰り広げられる。
自分は原作の漫画もアニメも見ておらず、そちらの方でなんらかの説明があるのかもしれないが、少なくとも映画を見た限りでは全体がご都合主義の展開にしか思えない。
目的の浜辺美波の演技は良かったと思うが、演じるエマの人物像がどうしても好きになれず、不完全燃焼である。
その他の出演者たちも、過剰さを含めてみんな良い演技だと思うが、レイ役の方の演技がちょっとアレすぎて興醒めする。
北川景子や渡辺直美は言うまでもないが、特にノーマン役の板垣李光人が良い。
この人なんか知ってるなぁ、と思いながら観ていたのだが、上映後に検索してジオウのウール役と知って得心する。
現代劇とかに対応できるのかどうかはよくわからないが、こういった特撮系の作品だと映える演技である。
浜辺美波に関しては他の映画で堪能しよう。