KCIA 南山の部長たちを観る

映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開

現状ハリウッド的な海外の大作がほぼ公開されておらず、邦画で観たいものはあらかた観ていて、つまり今は観たい作品が何もない谷の時期である。

そんな中、唯一観たくなったのが「KCIA 南山の部長たち」であるが、「上映している劇場が遠い」という理由で若干躊躇する。

しかし、他に選択肢がないので重い腰をあげる。


韓国の大統領暗殺の史実を元にした映画、ということは知っていたのだが、事前に映画の情報や暗殺の史実などは調べないで観に行く。

それでも純粋な政治サスペンスとして話は楽しめる。

映画としてちゃんとエンターテイメントしているし、話で迷うことはほぼない。

ただ逆に、冒頭で「史実を題材にしたフィクション」という旨が提示されるのだが、かなりの部分がフィクションなんだろうな、という印象は否めない。

話が理路整然とし過ぎているし、物語的に都合の良い部分が散見される。

史実を具に調べたわけではないので、自分の印象が間違いなのかもしれないが、やはり「史実を題材にしたフィクション」なんだろうと思う。


韓国映画を見るたびに思うことだが、この作品もやはり役者の演技が大きく感じる。

自分は韓国人の普段のありようがわからないので、もしかしたら演技としては適切なのかもしれない。

でもやはり自分は作中で誰かが怒鳴ったり、我慢したり、悲しんだりなどのエモーションを伴う部分がトゥーマッチに感じてしまう。

また、イ・ビョンホンが演じるところのキム・ギュピョンが感情を抑える際に髪を撫でつける、という癖を見せるのだが、こういうのも韓国の作品でよく見る感じである。

正直いうと、こういったわかりやすさがあまり好きではない。


映画として面白いとは思うのだが、作品には入り込めない感じがある。