イボを切る

髪を切りに行く。

自分は「旅行に行くと現地で髪を切る」という習慣があるのだが、先日日光に行った際は、ボロかったり、ボッタクリ価格だったりして適当な理容店を見つけることができず、日光で髪を切るのは諦め、次回の旅行に回そうと思ったのだが、高まった髪を切りたい欲求を抑えることができず、地元の床屋に行くことにする。


今回行った床屋は地元では指折りの繁盛店で、いつ行っても順番待ちの人がいる。

普段の自分であればそんなところはハナっから選択肢から外すのだが、そこは異常なほどコスパが良い。

肩揉みや耳かきまで含めたフルサービスを行っているし、シャンプーや化粧品なども他の店と遜色のない香りがし、髭もT字ではなく、ちゃんとしたカミソリで剃る。

それでいて他の店より3割ほど安い。

並ぶ価値は全然ある。


その日は仕事終わりに行ったのだが、幸い待ちは1人だけである。

割とサクッと15分ほどの待ちでカットが始まる。

滞りなく髪は刈られ、シャンプー・顔剃りと行程は進み、全部剃り終わって蒸しタオルを堪能している際に事件は起こる。


自分は鼻穴の入口のところに大きめのイボがある。

「あの人いつも鼻くそつけてんなぁ」ぐらいに目立つイボであるが、鼻毛をカットしてもらっている時にそのイボをハサミでバッサリ持っていかれる。

店員が明らかに狼狽し、「イボあったんですね」をマジで10回ほど言いながら、応急処置をする。

何か濡れたシートがイボのあった場所にあてがわれ、「すいません」と何度か言われる。

申し訳なさそうな店員には悪いが、自分的には少しチクっとしたぐらいで、その後の痛みもほとんどなく、蒸しタオルが冷たくなっていくのをドッシリと感じていたのみである。

全ての理容が終わり、料金(通常料金)を払う際に、もう1度謝られたが、笑みを浮かべつつ、颯爽と退店する。


店を出た後で、近くのコンビニに入って鏡を見たら、思っている以上に根本からカットされている。

昔からイボをなんとかしたいと思っていたし、なんなら「ハサミで切る」は自分が考えていたことで、それが実行されたことでむしろ普段のカット以上に清々しい気分になる。

ただ惜しむらくは「こんなにバッサリいったんなら切り取ったイボはもらいたかったな」というところである。