ちょっと前に山武市に行き、海がすごく良かったので、GWの初日にまた海を見に行くことにする。
九十九里浜では視界ほぼ180度海、という衝撃的な光景を見られたのだが、地形的に180度以上の景色があるんじゃないかと期待し、銚子を目指す。
実際に向かうまでは深く考えていなかったのだが、銚子は何気に遠い場所にある。
銚子は千葉市から成田の方を通ってグルッと行くことになり、鈍行で行く場合、電車に乗る時間は新幹線で新潟に行くのとあまり変わらない。
一応特急も出ており、1時間半ぐらいでいける方法もあるが、今回は時間の都合で適当な便がない。
千葉はまごうことなく関東ではあるが、銚子はまた違った土地なんだなという気がする。
結局のところ、東京駅から高速バスが出ていたので、それの朝1の便に乗ることにする。
今回の目的は海を見るということだったので、犬吠埼を目指す。
電車で行くとJRの銚子駅で降りて、銚子電鉄に乗り継ぐ、という行程が発生するのだが、高速バスは直接犬吠埼まで行ける。
それも都合が良い。
銚子はあいにく雨が降っており、曇天で薄暗い。
せっかく海を見に来たというのに、ちょっと残念である。
しかし十分にいい眺めではある。
灯台に近づくにつれ、定食屋、土産屋など観光地然とした店舗が通りに並んでいる。
全く下調べをしないで来たので、ここまで典型的な観光地だったことに少し狼狽する。
時間的にまだ店は開いていなかったので、なんとなく灯台まで進むと、ゲートがあり、立て看板の入場料300円が目に入る。
やっぱり犬吠埼は観光地なんだと思い知らされる。
入場料はまあ全然妥当な価格あると思ったので入場することにしたが、800円とかだったら入らなかったかもしれない。
また入場料は現金のみの対応で、出発直前まで現金を持って行くか悩んでいたので、持って行った自分を褒めたい。
内部は灯台の博物館的な施設がある。
上記資料館のみでなく、灯台の下部にも資料が展示されている。
犬吠埼灯台の歴史にとどまらず、灯台そのものの歴史やロランやGPSなどの電波航行システムの解説まである。
充実度という意味では微妙な気がするが、船の航行に関する総合的な展示が行われており、なかなか楽しめる。
灯台で実際使われていたというレンズが展示されていて、これがなかなか圧巻である。
あまり意識していなかったが、電灯の灯りをレンズで増幅する、という仕組みになっており、これは結構得心した。
レンズの元に展示されているイラストは「燈の守り人」なる作品のキャラらしい。
温泉むすめ、鉄道むすめまではまだ理解の範疇であるのだが、灯台の擬人化という概念があることに膝の震えが止まらない。
資料館には燈光会なる謎の組織が発行する会誌が展示されている。
低目の本棚に雑然と、しかしながら結構な量が並べられただけであり、信じられないぐらい気軽に手に取れる。
はっきりいうと盗んでもバレないんじゃないかぐらいの雰囲気である。
棚をつらつらと見ていると、「昭和20年代」とかいうラベルを見かけ、ギョッとして手に取ってみる。
適当に取り上げた号が、上記写真の「ロラン開局特集号」で、「えっ? これ結構貴重な資料なんじゃないの?」と思って狼狽する。
中をパラパラとだが見てみると、ロランの電波を送信する設備の写真だとか、技術的な解説だとか、ロランに関する鼎談など、信じられないぐらいロランを深掘りした内容になっている。
燈光をいつまでも読んでいたい誘惑に駆られるが、帰りの時間もあるので、後ろ髪を引かれる思いで資料館を後にする。
「灯台のことなら」 公益社団法人 燈光会 | 航路標識事業の発達を助成し、航路標識に関する知識の普及を図る
ここまで灯台にフォーカスした組織が存在していたことに全身の震えが止まらない。
燈光会や燈の守り人の存在を知れたのは良かった。