夕飯の材料をバスケットに入れてレジに並ぶ。
どのレジも比較的空いていたのだが、牛乳パックだけを抱えた女の人が今まさに会計に入ろうとする列があり、その後は誰も並んでいなかったので、すかさずそこに入る。
牛乳パックのバーコードはスッと読み取られ、後は金を払うだけだが、女はスマホを弄っている。
結構な間があり、スマホを店員に差し出し、店員は画面をバーコードリーダーで読み取る。
dポイントが使えるスーパーなんで、それだろう。
ただ「dポイントのバーコード出すのにそんなに時間かかる?」と思ってしまう程度の間はあった。
そして女は背負っていたリュックを台に下ろす。
マジか、いまから財布出すのか。
いる、こういう段取り悪いやついる。
もうこの段階でかなりイラっときているが、女はさらに火を着けてくる。
財布はリュックの奥底にあるらしく、中身を台の上に攫い出す。
思わず他の列を確認してしまうが、他の列は既に2〜3人並んでいる。
店員も若干うんざりした顔をしている(気がする)。
女は意に介さず、ポーチやらファイルやらを出しているが、ふと気がつくと、透明のビニールに入ったセーラー服が台に置いてある。
紺地に2本の白のラインが入った例のアレなんで、これは確実にセーラー服である。
そして明らかに安そうなのでドンキのやつだと思う。
その時に浮かんだ感情を包み隠さずいうと「お前が着るの?」である。
ハロウィンで着るならばセーラー服というチョイスは若干ずれている。
あるいは本当に高校生なのかもしれないが、──以下略。
または可能性として低いと思うが、マジで水兵なのかもしれない。
ただ普通に考えると、そっちの趣味としか思えない。
あまり大っぴらにすべきものではないと思う。
モタモタのイライラはすっかりどこかに飛んでいってしまったが、今度はモヤモヤし始める。
正直もうちょっと包み隠してもらいたかった。
というか、そこまで奥底に財布を入れるのも少しおかしい気もするので、財布にかこつけてセーラー服を見せたかったのかもしれない。