昼休みが終わる頃に、田舎の友人から電話がかかってくる。
Tが癌で亡くなった、ということである。
Tとは幼稚園から中学を出るまで一緒で、いわゆる幼馴染である。
ヘラヘラしている自分とは対照的に、Tはスマートな男で、世の中に対してどこか距離を持って接するような男であった。
自分の年代で田舎から関東圏に出て行ったのは、自分とTだけであったが、数年前から病に伏せ、田舎に戻っていたらしい。
しかしながら、田舎の友達みんなが、Tが田舎に帰っていたことを知らなかったそうだ。
Tの家族も、T自身もそのことを周りに隠していた。
その話を電話で聞き、Tらしいな・・・、という気がした。
最後に会ったのは、20代の同窓会の時のことだったろうか。
はっきりいうと、その時に色々話した記憶はあるのだが、何を話したのか全く覚えていない。
今となっては詮無い話であるが、もう一度会っておきたかった、と思う。
が、それは今回亡くなったからそう思うんだろうということはわかっている。
普段から人と接するときはそういう心持ちをどこかに持っておくべきなんだろう。
こういう風に、彼の訃報をブログに書くことに対して迷いがあったが、結局書くことにする。