コロナ禍の中、日本での公開が延期されていたエジソンズ・ゲームを観に行く。
さらにはWikipediaを見てもらえるとわかるが、諸事情でコロナに関係なく公開が延び延びになっていて、まさに「満を辞して」という作品である。
そして自分的にも久しぶりの新作である。
この作品は電気ビジネスの勃興期に起った、エジソンの推す直流方式とウェスティングハウスが推す交流方式の電流の方式をめぐる争いを描いた作品である。
もう題材が興味深い。
そういったことがあったというのはなんとなく知っていたのだが、エジソンだの、ウェスティングハウスだの、ニコラ・テスラだの、JPモルガンだの、ある程度名前も活躍も知っている人らがどのように立ち回ったのかは見ていて面白い。
しかしながら、映画の冒頭で「事実にインスパイアされた」というエクスキューズがあり、どこまで事実に基づき、どこが編集された部分なのかは非常に気になる。
物語が2時間ほどに手際よくまとめてられているために、時系列の入れ替えもあるだろうし、切り詰められた事実もあるだろうし、事実を創作した部分も多いだろう。
その意味で見終わった後で話をうまく飲みこめない感じがあったことは否めない。
また「エジソンズ・ゲーム」というタイトルは近年稀に見るトンチンカンな邦題だなと思う。
そもそも原題が「電流戦争(The Current War)」ながら、社会的にどのように電気が普及していったかといった部分より、エジソンやウェスティングハウスの心情に重きを置いていて、いまいちピントがはっきりしない。
電流戦争を描きたかったのならニコラ・テスラについてはもっと丁寧に説明すべきで、映画のもっと早い段階でウェスティングハウスと出会い、ウェスティングハウスの元でどうだったのかをきっちり描くべきだと思う。
言うなれば、この映画自体が電流戦争をきっちり描いているとは思えない上に、どちらかというとウェスティングハウスが主役のように描かれている。
「エジソン」の知名度や、原題の「戦争」の物騒さを忌避して「エジソンズ・ゲーム」になったのだろうが、結果映画の内容に全くリンクしない邦題になっている。
題材自体は興味深いが2時間ほどで語る物語ではないと思う。
6〜8時間ぐらいのテレビシリーズが適切だったのではないかと思う。