007 ノー・タイム・トゥ・ダイを観る

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ダニエル・クレイグの007は正直スカイフォールをアマプラで見たぐらいであるが(とてつもなく良かった)、最終作とのことなんで「まあ観とくか」という感じで観にいく。


観ている間ずっと感じたのは、思った以上に「荒唐無稽な感じなんだな」ということである。

かなり前に観たのでディテールを忘れているのかもしれないが、スカイフォールはもう少し現実に寄っている気がした。

ただ現実味がない分、出てくるガジェットがいちいち面白い。

1番興味深かったのが、今作のキーアイテムである「ヘラクレス計画」の研究者、オブルチェフをテロリストが逃す際に使ったアイテムが自分にとっては1番フレッシュである。

Qの作るアイテムも適度に現実味がなくて、男子が憧れるスパイってこんな感じだよな、と思う。

また冒頭のボンドカーの本懐を思い出させてくれる感じも良い。


ただ、物語の方は現実感のなさが仇になっていて、出てくるアイテムのハイテクぶりと物語の展開がマッチしていないように感じる。

例えば、件の「ヘラクレス計画」であるが、内容を考えると大都市にある施設で研究してるのはどう考えたっておかしいと思うし、テロリストがその施設に侵入する際のアイテムはすげぇハイテクでかっこいいのだが、そこに至るまでの道程がどう考えても目立ちすぎだろう、とか、細かいところが気になってしまう。

テクノロジーに対する一貫性とか整合性があまり取れていないように思われ、アイデアや映像としては面白いのだが、全体としてはチグハグな印象である。


また、物語はどうもダニエル・クレイグ版007の前4作を大幅に踏まえた内容になっているらしく、多分自分は面白さの半分も分かっていない。

その上で言わせてもらうが、この映画の最後、つまりジェームス・ボンドの顛末については少し疑問に思う。

今作のヴィランであるサフィンは思った以上に出番が少ないし、結局どんな人なのか最後までいまいちよく分からなかったが、最後にボンドにしでかしたことにはハッとさせられる。

この映画にビシッと1本筋を通した行動だし、これほど残酷な呪いはない。

だからこそボンドには全く逆の顛末を与えるべきだったのではないかと思う。

そのほうがふさわしかった気がしてならない。


映画全体としてはふわふわとした感じはあるが、アクションは素晴らしいし、スパイ物の魅力は十分に感じられるので、まあ満足ではある。