ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結を観る

映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』オフィシャルサイト

普段、映画の感想を書くときは観に行った理由から書き始めているのだが、「DC × ジェームス・ガン = 観ないわけがない」で説明は十分だと思う。


端的に言って、すごく面白い

冒頭からかったるい話はすっ飛ばしていきなりフルスロットルで始まるし、そこから最後まで想像を絶する展開が次から次へと起こり、個性的なキャラクターがバンバン登場したり退場ししたりし、オーソドックスながら十分なドラマがあり、グロかったり、滑稽だったり、悪趣味だったり、アーティスティックだったり、いろんなバリエーションのアクションシーンが近年稀に見るボリュームで惜しげもなく投入され、涎が出なかったことが信じられないぐらい没頭することができ、上映時間が132分だなんて信じられないぐらい「あっ」という間に終わる。

なんだこれは。


とにかくアクションシーンがアメコミ映画史上、最大の含有量なんじゃないかと思う。

アクションの合間にドラマがある感じで、それでもアクションの演出のバリエーションが豊かなので飽きたり疲れたりすることがない。

冒頭の上陸作戦も、リック・フラッグの救出作戦も、ハーレイの戦闘シーンも、かなり絶望的な状況のクライマックスのバトルも、どれも印象深い。

しかもそれぞれ見事なオチが用意されており、笑えたり、溜飲が下がったりする。

見事としか言いようがない。


キャラクターも、主要な人ならそれだけで1本映画を作ってもいいぐらいのキャラ立ちをしている。

ハーレイは言うまでもなく、ブラッドスポート、ラットキャッチャー2、キングシャーク、ポルカドットマン、ピースメーカーの誰でも単独作がいけると思う。

実際ピースメーカーのドラマが来年初頭に来るらしいが、ラットキャッチャー2は追加でありそうな感じがある。

キングシャークあたりも作風のギャップはあるだろうが、アクアマンに出てほしい。

自分はポルカドットマンのあの症状の気持ち悪さが非常にツボだったのだが、よくもまあ、ああいうことが思いつくものである。


とにかく演出も脚本も非常にウェルメイドで、ジェームス・ガンの才能をまざまざと見せつけられた感じである。

『ザ・スーサイド・スクワッド』はどれだけ自由? ─ ジェームズ・ガン監督「完全に自分だけのもの」「何も言われなかった」 | THE RIVER

ジェームス・ガンがひたすら自由にやらせてもらえたと言うことだが、この映画を観ればその言葉が正真正銘ガチのマジであることがわかる。

DCはDCEUというシェアード・ユニバースに関するこだわりを今や捨てつつあり、この映画はその方針によるメリットが最大限に具現化したような作品になっている。

MCUは作品間のつながりを重視したまま映画・ドラマと領域を広げていき、膨大な量の作品が楽しむ前提になりつつある。

MCUは歴史の長さと作品の多さで追っていくのが大変になる一方で、DCEUは「どこからでも入っていける」という境地に至りつつある。

これはDCの活路として正しいと思う。


時間さえ合えば吹き替え版でもう一度見てみたい。