生来ロシアには興味があり、さらにはクレイジー極まりない話に惹かれ、「DAU. ナターシャ」は観たいと思っていたが、うかうかしているうちに自分の行動圏内の映画館での上映が終わってしまう。
しかし最近ネットで上記写真を見かけ、その検索の過程で下記動画を見てしまい、極秘実験好きの自分としては「これは是が非でも観なくてはならなかったのだ」と後悔する。
配信が開始されていないかとか、パッケージがあるのか調べていたところ、渋谷で未だ上映されていることを知る。
緊急事態宣言を前に映画を観れるうちに観ておこうという焦りも相まって、勇気を出して自分の行動圏ではない渋谷に出向くことにする。
観ている間中、折に触れて我に帰り、「自分は何を観てるんだろう」という気分にさせられる。
映画的な演出がまるでなく、さりとてホームビデオほど無機質でもなく、演技をしているのかどうかよくわからず、昔のソ連の生活を神の視点でひたすら眺めているような感じである。
物語的なものも一応あるが、観終わった後に「そういうことか」と気づいたぐらいで、本当にひたすら日常を見せられる。
ウェイトレス同士のえげつない愛憎、常軌を逸した乱痴気騒ぎ、度が過ぎる生々しいセックス、吐き気がしそうなほど身につまされる中年の絶望、観ているこっちの眉間がなくなるほどのえげつない拷問、そしてナタでぶった斬ったようなエンディング。
今でもこれが面白いのかどうかまだよくわかっていないが、間違いなく他では得られない映画体験ではある。
この映画は秘密研究所が舞台となっており、そこで行われている実験の全貌は語られないが、仄めかし方がものすごくうまい。
先ほど貼り付けた実験シーンの動画はカットされており、カットされた部分やカフェで交わされる実験への言及がものすごく興味深い。
次作の「DAU. Degeneration」は6時間あるとのことで少し尻込みしているが、実験の件がテーマのようなのでなんとか観たくはある。