交換ウソ日記を観る

映画『交換ウソ日記』公式サイト|大ヒット上映中!

我らが仮面ライダー ゼロワンの高橋文哉の出演作なので観に行った! と言いたいところであるが、実際のところは仕事終わりに1番手っ取り早く観られるといういつもの理由で観に行くことにする。

高橋文哉に関してはゼロワンの名を出す必要がないぐらい売れているみたいなので、ニチアサおじさんとしては慈しみの目にならざるを得ない。


自分はたまにゴリゴリのティーン向けの映画を見るのだが、今回の交換ウソ日記に関しては埋まってる席の半分ぐらいが制服を着た女子高生で、ここまでガチでティーンに受けていることを実感できる光景は初めてである。

劇場全体でも3分の1ぐらい席が埋まっており、平日の夕方であることを考えればヒットしているといっても過言では無いだろう。

原作は結構ヒットしているそうで、おそらくその人気だとは思うが、自分のアンテナには全く引っかかっておらず、こういう自分の知らないムーブメントを知れたのは良かった。


女子高生の希美は移動教室の際に机の中に「好きだ」と書かれた手紙を見つける。

手紙を書いたのは学校一のモテ男、瀬戸内(高橋文哉)。

希美は返事を出し、そこから交換日記が始まる。

しかし希美は瀬戸内は好きだといった相手は親友のみずきであることを知る。

誤解だったと知りつつも、交換日記を続けてしまう。

というところからこの物語は始まる。

その状況説明が映画冒頭の5分ぐらいで語られ、「すげえ手際の良さだな」と感心してしまう。

全体的に構成はしっかりしていて、映画としては観やすく、わかりやすいと思う。


ただそれだけに、希美が誤解を解かないままに瀬戸内との想いを深めていく、という状況が手際よく語られていくのがひたすら辛い。

交換「ウソ」日記のウソの部分が、「人としてどうなの?」というレベルであり、ウソが瀬戸内にバレたらどうなるんだろう、という恐怖が1時間強続く。

しかしながら、途中で瀬戸内が「人としてどうなの?」というレベルの行動を有り得ないタイミングで行い、「もうどうでもいいや」という心境になる。

そこからは普通に楽しめるようになる。


映画を全体的に見ると、「瀬戸内はヤベェやつだな」という印象である。

こういうティーン向けの映画の1つの機能である、イケメンにチヤホヤされるという部分がこの映画にもある。

瀬戸内は希美の頭をポンポンしたり、希美のほっぺをつまんでアヒル口にしたり、密着してバスケのシュートを教えたりする。

ただクライマックスの展開があった後で、瀬戸内があのタイミングでそういうことをしていたのかと考えると、「瀬戸内ヤベェ」と思わざるを得ない。

イケメンで免罪されるような行為では全く無いと思ってしまうのだが、それは自分が女子では無いからだろう。

ついでに言えば、希美のもう1人の親友である「なぎさ」もだいぶヤバい。


「バッドエンドで終わるかも!」と思って、この映画を観にいく人はいないだろうからはっきりいってしまうが、この映画はハッピーエンドで終わる。

「ウソ」の部分がエゲツなさすぎて、こっからどうやってハッピーエンドにするんだろうと途中からだいぶ気になっていたのだが、そこに関しては割と筋の通った展開でハッピーエンドに持っていく。

ただ筋は通ってるが、自分的にはだいぶ他の部分に皺寄せが行った印象である。

瀬戸内のヤバさだったり、みずきの聖人ぶりだったり、希美がハッピーになるために周りの在り方がだいぶ歪められている印象である。

また終盤で畳み掛けるような伏線回収があるのだが、あからさまにこれ伏線だなという部分があって冷めたり、伏線と回収の2点間のみ平面的な張り方なので、あまり感心はしない。

多分原作の小説だともっとあからさまなんじゃ無いかと思う。


こういうティーン映画は結構どれをみても役者がちゃんとしていて、高橋文哉も相手役の桜田ひよりも、その他の役者もみんな良い感じである。

自分はゼロワンの高橋文哉の馴染みしかないので、「ずいぶん顔が変わったな」と思ったが、そういえばかぐや様は告らせたいでもこんな感じで出ていたし、滑舌の悪さも散見されて、高橋文哉は堪能できる。


色んな意味で心は掻き乱されたし、映画としての出来はいいと思うので、割と良い体験だったと思う。