喫茶店にて #6

朝食を取るために喫茶店に立ち寄る。

サンドイッチとアイスコーヒーを購入し、席を探すために店内を見回す。

店の1番奥の席にノートPCを広げ、紙の書類が入ったフォルダーと大量の本を平積みにしているワイシャツのおっさんが陣取っている。

異彩を放っているのは、背もたれにうなだれて大口を開けて寝ている点である。

茶店が開店して15分ほどしか経っていないはずである。

入店し、注文をし、コーヒーを受け取り、席を確保し、ノートPCを広げ、本をカバンから出して机に並べ、寝る。

朝の15分の間に起こる出来事とは思えないスピード感である。

興味が湧いて、そのおっさんから1つ空けた席に座る。


本の背表紙が見たかったのだが、背表紙はノートPCの背面に向いていたのでわからない。

ただ結構分厚い本があり、何かの資料というよりかは小説っぽい雰囲気がある。

ちょっと背筋を伸ばして、1番上に積んである本をチラチラ見たが、裏表紙であった。

積んでいる本の隣にクリアのフォルダーがあるが、中は普通のフォーマットの書類のようである。

目が悪いんで、内容まではわからない。

残るはノートPCの画面ぐらいであるが、流石にそこは見ないことにする。


サンドイッチを食し、その後ウマ娘の育成を1回やったのだが、その間おっさんは微動だにせず寝ている。

テーブルを拭きにきた店員も見て見ぬふりをしていて、おっさんの眠りを妨げるものは何もない。

このおっさんはいつまで寝るんだろう、ということは気になるが、自分は自分の新しい1日を始めるために喫茶店を後にする。