佇まいが古びていて、おそらく昭和からそのまま令和を迎えたに違いない。
外見からだとソファーなどの調度品もそんな感じで、どこでその色温度の照明売ってんの? という感じのドオレンジの店内にくすんだ緑のくたびれたソファーが並んでいる。
「外見」というワードが示す通り、自分はその店に入ったことがない。
というのも、入口のところに「スマホ・PCお断り」という貼り紙が貼っていたためである。
中には新聞や雑誌なども見当たらず、「コーヒーのみ楽しんでください」というストロングスタイル、あるいは「コーヒー飲んだらさっさと出てけ」という経済優先の感性、いずれにしてもめんどくさそうなので躊躇してしまう。
実際のところ、その店はいつの時間通りかかっても、客がいないか1組ぐらいしか見たことがなく、他の人も自分と同じことを考えているんだろうな、という気がする。
本日、その喫茶店の前を通りかかった時に、見慣れない立て看板が置いてある。
気になってみてみたところ、「1時間 700円。商談・談話・リモートワーク──」などと書かれている。
よくよく読むと、コワーキングスペースに業態転換したらしい。
店内を見てみる。
ドオレンジで薄暗い照明はそのまま、ソファーもそのまま。
テーブルはソファーの座る位置と高さがさほど変わらず、PCを操作する際はかなり腰を屈めなければならないだろう。
書類とか読むのも難儀しそうである。
端的にいうと、居心地悪そう。
いろいろ大変な時代ではあり、そこに立ち向かおうという気持ちは理解できる。
でも、今後もその店を使うことはないだろう。