日光に行く

色々あって、無理やり4連休の夏休みを取ることになる。

4連休ともなるとどうしたって暇を持て余すことになるだろうと思い、思い切って旅行に出ることにする。

準備期間も短かく、そこまで遠くに行く気にもなれないので、手軽にいけそうなところを調べていくうちに、日光が候補に上がる。

日光は若い頃に社員旅行で一度行ったことがあり、東照宮日光江戸村に行ったことは覚えているが、内容はほとんど覚えていない。

何となく日光江戸村欽ちゃん劇団があった頃で、それを見た気がするのだが、どちらかというと、夜に社員の若い人たちが集まって恋バナをしたことの方が覚えている。

同僚の女性社員の生々しい恋の話を聞いて、ウブな自分は「明日からどう接すればいいんだろう」という気分になったことが日光の思い出である。

そんなわけで、今改めて日光を尋ねたらどうなんだろう、という興味が湧いていくことに決める。


日光は観光地としては非常につまらないところであった。

日光駅から東照宮までの言わば参道であるが、道が広くてかなり整備されている。

しかしながら並んでいる店舗が観光地然としすぎていて、全く魅力を感じない。

ある意味当然のことではあるが、店が飲食とお土産に特化しており、そのお土産に面白味がない。

昼時に何か食べようすれば、大抵の店に行列ができており、さらには現金のみとかでめんどくさい。

駅と東照宮の間はそこまで距離がないので、都合3往復ほどする。

結局参道で購入したものは朝と昼の食事だけである。


東照宮もそこまで面白味を感じない。

敷地は広く、自然が豊富で涼しく、歩いていると心地よい感じはある。

しかし寺社を見るためには拝観料が必要で、「そこまでして見なくてもいいかな・・・」と引いてしまう。

駅からの参道以外にも、裏側にも参道があり、そちらの方はひどく廃れている。

廃墟のような店が立ち並び、正直個人的に好きな雰囲気ではある。

ただ廃墟になった店には「新型コロナ対策推進宣言」というポスターが貼ってあったりして、新コロの爪痕なんだと思うといたたまれない気分になる。


日光の観光に関しては、ほとんど面白味は感じなかったが、日光を通る川がものすごく良い。

東照宮の前に神橋(写真左)なる、日本三大奇橋に数えられる橋がかかっているのだが、そんなことより流れる水の綺麗さに心奪われる。

深めの川底の部分では青く見えたりもして、透明度の高さがわかる。

流れが早く、岩に当たって分岐したり、合流したり、逆流したり、泡立ったり、回転したり岩を洗ったり、見ていて飽きない。

音も涼やかで、折々で川を眺め、合計1時間ぐらいは川を見ていたと思う。


山道から1本外れると、ゴリゴリの住宅街が広がっている。

もちろん観光地だって人は住んでいるが、参道の観光地然とした景色とは真逆で面食らう。

検索したところここらへんには、コンビニが2件、スーパーが1件しかなく、すごく住みづらいのではないかと思う。

そしてさらにいくと、田舎を感じる光景が広がっている。

千葉や埼玉の奥地とは違う自然の広がりで、田舎生まれの自分は懐かしい気持ちになる。

そしてやはり川が流れており、また眺めてしまう。


というような感じで、観光地としてはつまらなかったが、旅の面白みは感じる。