『劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』オフィシャルサイト 2023年11/23公開
シルバニアファミリーには以前よりそこそこ興味があり、劇場版をやると知った時に観に行きたいとは思っていた。
しかしながら、前回映画を見る機会の際は、時間の都合で見送る。
そんな中、12月1日は映画の日であり、たった1000円で映画が観られる。
65分の映画を観るならこの機会を逃すわけにはいかないと思い立ち、映画館の上映プログラムを調べると、すでに朝夕の2回しか上映されていない。
ますます観にいかねばならない、と決意を新たにして、なんとか都合のいい上映時間の劇場を見つけて、予約する。
席数の少ないスクリーンでの上映ではあったが、それでもゆったり観ることができる。
予想通り、親子連れやシル活女子がメインの客層であり、ソロおっさんの自分は完全に不審者である。
ただ他にも2人ほど不審者がいて、心強い。
でもそのうちの1人は3列目のど真ん中に席を陣取っており、この映画に対する熱意が伺える。
シルバニアファミリーという題材から想像できると思うが、完全に女児向けの映画である。
ただ、対象年齢はこっちが想定していたよりも低い。
敷物の両端を2人が掴んでカイト的に空を飛ぶなど、完全に絵本の世界である。
幼稚園の頃とか、子供の時はそういったものはありふれていたはずであるが、久しくそういった発想に触れていない。
この年になって、改めて触れてみると、結構新鮮である。
主人公フレアのお母さんの特技がサックスだとか、第2話の楽器を作る件で生み出されるプロダクトだとかその顛末だとか、Tree of yearだとか、地味にぶっ飛んだ発想が見受けられる。
その一方で、楽器の件に関してはこっちが感心するほどの知見が語られたりする。
話の筋はきちんと通っており、いい話ではあるし、きちんと児童向けのトンマナが貫かれていて、いい脚本だなと思う。
興味はあったにせよ、シルバニアファミリーの世界観にきちんと触れるのは今回が初めてであるが、思った以上に良い。
善人だけの世界、となると、なんらかの悪意がワンセットになるのが定番であるが、シルバニアファミリーの世界では無理なく善意だけの優しい世界が構築されている。
それに「シルバニア『ファミリー』なんだな」とちゃんとわかる脚本になっている。
家族の絆というものを正面から描いているし、映画の最初から最後まで、その絆を描くためのフリが行われていることがわかる。
つくづくいい脚本だなと思う。
この映画は3DCGアニメとして描かれているわけであるが、絵作りに結構感心する。
フレームレートをわざと落として、ストップモーションアニメの雰囲気を醸し出す演出がなされている。
元がフィギュアなので、そのフィギュアが動いている感覚を再現したかったのだと思うが、それは成功していると思う。
CG感を残した部分や、フォトリアリスティックな部分が混在していて、それもなかなか不思議な感じである。
そもそも登場人物の描写が、本当にストップモーションで撮ってるのかなという感じと、下手すれば手抜きなんじゃないかと思うぐらいCG丸出しの部分が同居していて、あんまり観たことない映像になっている。
思いのほかよかった。