本当はシルバニアファミリーを観たかったのだが、上映時間が噛み合わず、諦める。
次点は翔んで埼玉と、首であるが、翔んで埼玉は前作を未見というのと、北野映画はそれなりに好きという理由で、首を観に行くことにする。
自分は歴史とかに疎い方で、大河ドラマとかも全然観ていないのでなんとも言えないが、かなりぶっ飛んだ歴史の解釈をしている印象である。
話題になっているイカれた信長やら、踏み込んだ男色など、あまり観たことない側面で戦国時代が語られる。
信長に関しては、確かにイカれているが、それよりも信長が尾張弁で話しているのが良い。
戦国時代に尾張弁があったのかどうかはよくわからないが、確かにしっくりくる感じではある。
登場する人物をWikipediaなどでみてみたところ、結構な解釈が行われていて、曽呂利新左衛門が抜け忍とか、キーマンである荒木村重の顛末などはこの映画独自の解釈のようである。
これだけ拡大解釈をして、話が破綻していないのは大したものだと思う。
ただ全体的に筋は通っているように思えるが、話の構成があまり良くない。
明智光秀、曽呂利新左衛門、元百姓の難波、秀吉など、様々な人物の視点で語られていくのだが、そのため話の焦点が定まらない。
一応はタイトルである「首」が焦点であるとは思うが、それがストーリーラインの根幹になっていないので、ボヤけた群像劇になってしまっている。
なので、オチの部分もなんだか釈然としない気分になってしまう。
北野武は本当に映画を撮るのが上手い監督だと思うが、今作に関しては演出が少し歪な印象である。
合戦シーンなどは臨場感があって良かったのだが、CGが絡むと途端に絵が安くなる。
死体のリアルさに関してもクオリティーが一貫してなくて、生々しいものがあったり、あからさまに作りものだったりで安定しない。
絵作りのクオリティーが揃っていないので、結構気が散ってしまう。
アウトレイジなどで、すでに割とファンタジックなバイオレンスをやっていたのだが、今作に関しては単純に辻褄が合っていない。
荒木村重のまんじゅうの件とかは、アウトレイジの焼き直しだし、あれだけのバイオレンスの後でその後の村重はなんのダメージも受けていない。
そこを有耶無耶にするのならば、バイオレンスを描く意味はないと思う。
コメディー部分も、きちんとした時代劇を見ている途中で、突然現代的なものが放り込まれるので、面食らってしまう。
なんというか、全体的にトーンが合っていない。
役者に関しては全員すごく良かったのだが、まあ・・・武は監督に専念した方が良かったとは思う。
映画としてはよくできている方なんだと思う。
ただ、やっぱり気になる部分が多すぎるという感じである。