マダム・ウェブを観る

映画『マダム・ウェブ』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

まあ、マーベル映画はとりあえず観ることにしているが、ソニードメインのSSUに関してはパッとしない作品ばかりである。

マダム・ウェブはその中でも群を抜いて評判が悪い。

実際アメリカでの興行収入もあまり良くないようで、なかなかの暗雲が立ち込める作品である。

でも観る。


これはSSU全体に言えることであるが、この作品も話がガバガバである。

「キャシーが能力を得る事故において、その救命活動は正しいのか」とか、「物語の鍵を握る3人の少女とキャシーのつながりは結局何だったのか」とか、細かいところを言い出すとキリがないのだが、1番の難点は今作のヴィランであるエゼキエルの行動である。

はっきりいうとドラマツルギーに沿っていない。

エゼキエルはとある理由で3人の少女を殺そうとするのだが、ドラマの過程でどう考えてもターゲットをキャシーに変えるべき事態になるが、3人の少女に固執し続ける。

エゼキエルの能力も曖昧で、作中のパワーと彼の顛末が釣り合いが取れていない。

エゼキエルを謎の男として描きたいがために、必要な情報まで削ぎ落としている。


また2時間ほどの映画であるが、最初の小1時間、物語的に本当に何も起こらない。

見終わったあとで振り返ってみても、何かのフリだったとか、後々必要な要素というものがほとんどなく、キャシーの日常がただ描かれるだけである。

それがキャシーの人物像を深めているわけでもなく、キャシーの性格や生い立ちを重複して語っているだけである。

まあ、別の作品への仄めかしとか色々あるようだが、今作に馴染んでいるとは思わない。


ただ、スーパーヒーローものの映画としてはかなり意欲的な作品だとは思う。

アクションシーンはあまりなく、キャシーがマダム・ウェブに至るまでのイニシエーションをガッツリ描いている。

そのコンセプト自体はいいと思うのだが、肝心の話がよくないので、ドッチラケてはしまう。


前評判ほど酷い作品とは思わなかったが、まあいつものSSUだとは思う。

あと、ジュリア役のシドニー・スウィーニーが良かった。