恋わずらいのエリーを観る

映画『恋わずらいのエリー』公式サイト|大ヒット上映中

最近色々あって映画を観るペースが落ちているのだが、4月からはさらに減っていくんだろうと思う。

映画を観るのはなかなか貴重な機会になってしまったのだが、そんな中、全くノーマークである「恋わずらいのエリー」を観ることにする。

今、観たい映画が全くなく、どうしても観たくない映画を除けば、時間的にもっとも適当だったのがこの映画だったということである。

ふと思い返せば、似たような理由で映画を観る際はティーンやヤングの女性向け映画を観る機会が多く、こういった需要はそこそこ強いのかもしれない。

実際劇場は女で溢れており、カップルすらほとんどいない。

状況的に自分は完全に不審者であるが、邪な考えは全くないということを言っておきたい。


学校イチのさわやか王子・オミくん(宮世琉弥)を眺めつつ、彼との妄想を“恋わずらいのエリー”の名前でSNS上でつぶやくのが日課の妄想大好き女子・エリー(原 菜乃華)。
ところが、パーフェクトだと思っていたオミくんは、実は口が悪いウラオモテ男子だった!
しかも、超恥ずかしい妄想が彼にバレてしまい、絶体絶命の大ピンチ…のはずが、「その妄想、叶えてあげてもいーよ?」と、オミくんはエリーを面白がり、まさかの急接近!
映画『恋わずらいのエリー』公式サイト|大ヒット上映中

という話である。

クール系男子とコミュ障女子という、まあありていにいえば、由緒正しきテンプレ少女漫画といった感じはする。

最終的に多少踏み込んでる感じはあるが、予定調和と言っていい結末を迎え、フレッシュさは全くない。

また、全体的に話の展開が素っ頓狂に感じる。

ある状況における登場人物の行動が、どう考えてもそうはならないだろう、という場面に何度も出くわす。

一例を挙げると、オミくんのジャージを盗んだ女の態度とか、その女に対するエリーの言動とか、どうもうまく飲み込めない。

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気になったので、こちらで原作の冒頭を少し読んでみたのだが、原作の方では割と納得のいく描写がなされている。

原作を読んで思いの外忠実にストーリーを再現しているのはわかったが、漫画と実写の差異、演出の不味さなどが相まって、あまり良い感じにはなっていないのだと思う。

それが全体的に表れてしまっている感じである。


ストーリー展開自体もなかなか無理のある感じだが、これは悪い意味で漫画原作なんで仕方がないのだと思う。

それでも、オミくん・エリー、その2人の周りにいる人物が変化していく様は非常に良い。

自分はイニシエーションのないドラマは不完全と思っている方なのだが、この映画においては登場人物の変化がかなりわかりやすく描かれている。

そこは評価したい。


正直言って自分は宮世琉弥の良さが今ひとつわからないし、役者としての技量に関してもピンとこないのだが、少なくとも役をやり切っている感じはする。

こう言った映画の場合、ヒロインの技量に感心することが多いのだが、今作においても原菜乃華はいい仕事をしている。

こちらもかなりやり切っている。

演技の上手い下手とかはもちろん大事なことなのだが、リアリティーラインが大幅に下がっている場合、「役をやり切る」というのが何よりも大事なことだと思う。

その意味で、この映画に出演している役者たちはよくやっていると思う。


そこそこ満足はした。