ハニーレモンソーダを観る

映画『ハニーレモンソーダ』公式サイト | 大ヒット上映中!

順当にいけば「ゴジラvsコング」を観に行くところであるが、面白いに決まっているものを観に行くことに若干白けてしまい、ハニーレモンソーダを観に行く。

それにここ1年ほど何本かティーン向けの映画を観ていて、猛烈に面白いということはないが、そこまで悪くない作品ばかりなので、この作品に関してもそんなに酷い目に遭うことはないだろう、という判断をする。


ネタバレでもなんでもないと思うのではっきり言ってしまうと、「陰キャの女子がクラスのクールなモテ男子と結ばれる」という話である。

クールなモテ男子は綾波レイより由緒正しいテンプレで、自分の少女漫画に対する浅薄な知識で知る限り「ときめきトゥナイト」から脈々と受け継がれるキャラクター像だと思う。

そういう男子から好かれたい、という気持ちは昭和から令和に至るまで変わらないものなんだろう。

またストーリーも全く新規性は無く、想像できないことは何も起こらないし、おそらくこの映画においては必要がない。

さしたる葛藤も理由もなく、ヒロインがクールモテ男子やコミュニティーにただただ受け入れられていくのをたどるだけである。

逆に言えば何も考えずに観ることができるし、自分には訪れなかった仲良しグループとの他愛もない青春の1ページを垣間見るのは全然悪くない。

それに自分が女子でラウールが好みだったら、疑似恋愛の楽しみも十分にあるだろう。


何気に感心したのはヒロインの石森羽花の人物像が思った以上に描けているところである。

陰キャ感がよく出ており、映画が終わるまで陰キャ感は残っているのだが、それでもラウールとの恋を通じて成長していることは感じられる。

相手の会話を遮ってしゃべってしまう感じとか、少し話が通じていない感じとかは脚本が良いのだろうし、佇まいとか語尾が消えていく感じとかは演技が良いのだろう。

この手の映画を観るたびに思うことであるが、最近の若い役者は上手いとか下手とかでなく、とにかく役をやり切っていて全然観ていられる。

演技としてみると大きくは感じるのだが、とにかく楽しげな感じは伝わってくる。


特に良いわけではないが、特に悪くもなかった。