故あって、両毛線に乗る。
斜向かいの席に、久々に見るバーコードハゲのおっさんと、常に口が半開きのバカっぽい小学生ぐらいの少年が座っている。
両毛線の電車のドアは、駅に到着しても自動で開かず、ボタンで開閉しなくてはならない。
電車が駅に到着するちょっと前に、少年は席を立ち、到着するとボタンを押してドアを開く。
そして、出発直前にドアを閉じて、閉じたことを指差し確認し、席に戻る。
それを何度も何度も、飽きずに、駅に着くたび笑顔で繰り返している。
バカっぽいというかバカなのかもしれない。
しかしながら、小学生ぐらいの少年は押し並べてバカなものだ。
面白いと思ったことは、何度繰り返してもすり減らない。
バカだから積み重ならない。
かつて少年だった自分には、それがよくわかる。
そんな少年を笑顔で包み込み、愛でられる領域にあるんだ、ということを思う。
俺? 俺はかしこい少年だったよ。