自分にとっては近過去であり、実在の人物であるところの松浦亜弥を一体どうするんだ? という興味で観に行くことにする。
有り体に言えば、山崎夢羽を観たいということである。
山崎夢羽に関して言えば、思った以上に松浦亜弥だった。
それはルックとかの話ではなく、アイドル性の部分で「松浦亜弥って実際こんな感じだったんだろうな」という納得感がある。
登場シーンは2~3分ほどであるが、主人公の劔のトキメキが伝わってくる。
緊張で歩を進めることができないファンに対しての対応が素敵すぎて、控えめにいって天使だと思う。
ただ、自分的にはここがこの映画のピークである。
全体的に言えば、「いい話だとは思うがいまいち乗り切れない」という感想になる。
まずこの物語の肝であるところの松浦亜弥にハマっていく理由がよくわからない。
日々が辛く、その時に松浦亜弥のPVを見て感動した、ということなのはわかるのだが、何に感動したのか伝わらない。
その冒頭で少し置いてけぼりにされた気はする。
史実とは別に、その後の恋愛研究会。のイベントでそのPVを見たときの話を劔にさせる、というのがあれば良かったんじゃないかという気はする。
また個人的には劔が所属する「恋愛研究会。」が当時のノリとかを考えても面白かったイベントだったと置き換えることができず、上滑りしているように感じられる。
恋愛研究会。を学祭に呼ぶエピソードで、常時憂鬱な顔をしていたあの女子大生の心境がよくわかる。
特にコズミンが仲間の女に手を出す件は、「劔の性格悪すぎるだろ」とか思ってしまう。
しかしながら、そこまで苛烈なイジリをやっているということが、人が死ぬ映画でありながら悲壮感を感じさせないところなんだろうとは思う。
恋愛研究会。のメンバーの過剰なまでの前向きさはどうかと思うと同時に、羨ましくもある。
あと仲野太賀は本当にいい役者だな、と思う。