メモリーを観る

映画『MEMORY メモリー』オフィシャルサイト 2023年5/12公開

映画を観る週だったのでプログラムを眺めていたら、「メモリー」にエンカウントする。

今度イコライザー3が公開されるらしく、その宣伝のためか公式が切り抜き動画をYoutubeに投稿している。

それがなぜか自分のおすすめに挙がってきて、1も2も観ていない自分はホイホイ見てしまっている。

イコライザー3は近所でやれば観に行くつもりだし、今そういった安いアクション映画が観たい気持ちが高まっている。

そんな中、「リーアム・ニーソンアルツハイマーの殺し屋を演じる」という完璧に今観たい映画が上映されているとなれば、観ない理由がない。


感想から言えば、「期待したような映画ではなかったが、悪くはない」という感じである。

この映画のキャッチは「余命わずかの殺し屋が、最後に正義のために人身売買組織の黒幕に挑む」であり、「殺し屋がアルツハイマーを患っている」ということであれば、「記憶の問題をなんとかしながら、敵を薙ぎ倒して人身売買組織を壊滅させる」という話を想像していたのだが、実際はかなり渋い映画である。

リーアム・ニーソンの年齢を考えればまあ当然とも言えるが、アクション部分は少なめで、どちらかというとちゃんとしたドラマである。

もちろんアクションシーンや物語の細かい部分でガバガバに感じる部分もあるが、舞台設定や大筋の展開はしっかりしている。

ただ、「アルツハイマーの殺し屋」という設定はあまり活かしきれていないかな、とは感じる。

アクションの面では全く生かされていないし、ドラマの部分でもそこまでアルツハイマーである必然性を感じない。

普通に「余命わずかの殺し屋が正義に目覚める」という話でよかった気はする。


この映画の終わり方は自分の好きな映画である蜘蛛女のキスに雰囲気が近くて、「良いな」と思う。

なんとなくモヤっとした部分を残したまま終わる。

観に行く前は爽快さを求めて行ったのだが、真逆である。

物語としてはそれまで展開していたことを全部反故にする結末ではあるが、「パン! パン! ドカーン!! 壊滅!!!」とか、「パープーパープー・逮捕!」よりは全然良いと思う。


途中からモニカ・ベルッチが出てきてちょっとびっくりするが、結構ジェンダーバイアスのある役を演じているな、という気はする。

もうなんか、こういうことを気にするのは逆に良くないとは思うのだが、そのせいで物語から少し浮いた存在になってしまっていて、勿体無いと思う。