昨日、帰宅の際に1Fに住むババアに声をかけられる。
このババアである。
ババアは今から出かけようとしていて、自分を見かけ声をかけたようだ。
要するに誰でもいいんだろう。
ババアは「テレビが映らなくなっちゃったんで、見てもらえない?」というようなことを言ってくる。
自分は電気屋でもないし、アンテナ線の断線とか内部的な故障とかだと原因を調べるのもめんどくさいし直しようもない。
要するにめんどくさいんで誇示していたのだが、ババアにとってテレビが見られないことが喫緊の課題らしく、嫌に食い下がってくる。
結局押しに負けて、部屋に上がってテレビを見ることになる。
テレビの画面には、「B-CASカードを正しく挿入してください」というメッセージが表示されている。
なるほど、これであればB-CASカードを抜き差しすれば治るかもしれない。
テレビをずらして、B-CASカードの差し込み口を探している最中、「ごめんなさいね」とか、「ありがとね」とかババアに言われるが、唐突に「普段NHKしか見てないんだけど」というセリフが差し込まれる。
普段NHKしか見てないからなに? と思ってしまう。
そういえば部屋に上がったときには日テレにチューニングされていて、自分がテレビをいじり出したときにチャンネルを変えていたことに気づく。
別に誰が何の番組を見ていようが自分は構わない。
何かの見栄だろうか。
NHK以外の局を見ていることが恥ずかしいだろうか。
自分はNHKを見ることになんのプレミアムも感じていないし、そういった感覚自体がなんとなく古臭く感じる。
というかこれは自分の勘ぐりなんだろうか。
とはいえ、この状況で普段NHKを見ているアピールをする必要なんかまるでないので、ババアの見栄としか思えない。
その後、無事B-CASカードの差し込み口を見つけ、何度か抜き差ししたり、端子を袖で拭き取ったりして、無事テレビは復旧する。
直せたことに安堵し、感謝されたことに喜びを感じ、不可解な見栄に怪訝さを感じつつ、ババアの部屋を後にする。