大怪獣のあとしまつを観る

映画『大怪獣のあとしまつ』公式サイト | 2022年2月4日(金)全国ロードショー

Twitterで「デビルマン」がトレンドに上がっており、なんのことかと気になって見てみると、「大怪獣のあとしまつ」が映画デビルマン並みにひどい、ということであった。

デビルマンと並び称される映画が現れた、ということであれば観に行かない理由はない。

評判の良い「ゴーストバスターズ / アフターライフ」を観に行く誘惑を振り切って、観ることにする。


感想からから言うと、「ひどい映画ではあるが、言われているほど悪くはない」という感じである。

引き合いに出すのは申し訳ないが、出来の悪さで言えば先日見た「日本版CUBE」の方が酷かったし、精神的なダメージで言えば「ドラゴンクエスト : ユアストーリー」の方がくる。

デビルマンは映画として成立していない怪映像、というレベルでステージが全然違う。

大怪獣のあとしまつは徹頭徹尾、0秒目から劇場の暗転が明けるまで100%スベり続けた、というだけの話である。

途中2カ所、かなり不愉快なギャグがあるので120%スベり続けた、と言いたいところであるが、まあ言っても詮無いことである。


大怪獣のあとしまつは最低限映画としては成立しているとは思う。

一応話の筋は通っているし、映像はなんなら感心するほどきちんとしている。

難点は2点あり、演出が舞台のノリであることと、ギャグが1つも面白くない、というところである。

役者は全員巧者であり、おそらく演出の意図通りに演じたとは思う。

三木聡が映画と舞台の違いがわかっていないとは思えないのだが、映画としては説明過剰な演技をさせていて、はっきりいうとウザい。

視点が固定される演劇であればそれで良いのだろうが、カメラワークや再生スピードなど、映像自体で説明できる映画という媒体には向かない。

また、ギャグも上滑りで、パロディーの元ネタが全部古かったり、薄っぺらな政府・組織の描き方など、全体的に古臭い。

「今の時代にそれ面白いの?」という感じのギャグばかりで、なんというか面白のポイントがずれているように感じる。


話がとにかく平面的で、あからさまに「伏線→回収」の流れがわかってしまうので、エンディングはなんの面白味もない。

なんというか伏線を回収という状況は、世界観や登場人物のバックグラウンドをきっちり詰めた上で、話の順の綾で自然に発生するものであるべきだと思う。

この話に関しては回収から逆算して伏線の部分を考えている感じがして、伏線の段階で回収の部分が大体想像できる。

で、「ああ、やっぱり」で終わる。

そのさきに何かあるわけでもなく、投げっぱなしで終わる。

また「大怪獣のあとしまつ」というタイトルから期待していた、「あとしまつの工程」が全く語られないこともガッカリポイントである。


欠点を論えばいくらでもあるのだが、キリがないのでやめる。

ただ繰り返しになるが、言われるほどひどい映画ではない。

つまらないだけである。