艶のない上映プログラムの中で、消去法を繰り返し、母性を観る事にする。
なんならワカンダ・フォーエバーをもう1回観ようかとも思ったが、「戸田恵梨香と永野芽郁が出ている」という理由で501対499で母性が選出された感じである。
上映時間は1時間56分とのことであるが、1時間45分ぐらい、いや〜〜な展開が続く。
嫌な感じの映画であることは間違い無いのだが、そういう映画体験を与えようとしているのはわかるので、それがダメというわけではない。
ただ、最後の10分ぐらいで若干のカタルシスはあるのだが、話としては明確な解決を迎えて終わるわけでもないので、モヤモヤして終わるのがあまり印象が良くない。
話は母親の視点と娘の視点で進む。
母親の視点は全体にファンタジックで空虚に描かれ、娘はリアルな視点で進む。
その展開はかなり中盤で終わるが、それにもちゃんと意味もあり、とにかく話の展開が上手い感じである。
最後の名前を呼ぶところも、「ああそういえば」という感じであり、製作者にドヤ顔された感じで少し鼻白んでいたが、よくよく考えれば滅私で生きてきたサヤカだからきちんと意味があったのだと気づく。
そういう「よくよく考えれば無駄がない」感じがこの映画にはある。
役者陣は非常に良い。
戸田恵梨香も永野芽郁も良かったが、なにしろ大地真央と高畑淳子が頭抜けて良い。
大地真央の雰囲気が空虚さをものすごくブーストさせていたし、高畑淳子は本当に嫌な気持ちにさせてくれる。
活躍している役者にはそれなりの理由があるんだな、と思う。
ウェルメイドな映画ではあるが、本当に嫌な気持ちになる。
それも含めていい映画体験だったな、とは思う。