藤子・F・不二雄の全集を持っているぐらいなんで、ドラえもんは嫌いではなく、むしろ好きなほうであるが、アニメに関しては何十年という単位で見ていない。
水田わさびにバトンが渡った際に興味本位で数回見たことを除けば、中学生以来のアニメ鑑賞になると思う。
映画版に至っては、小学生の低学年の頃に観たきりである。
そんな中、今になって久々観た理由は、今は観たい映画がなく、映画館に行って1番手っ取り早く観られるのがドラえもんだったという、いつもの理由である。
結果的に思いのほかよかった。
ドラえもんは何も変わっていない。
今の時代性を考えると、ジャイアンの暴力やしずかちゃんの入浴などはオミットされても仕方のないことだと思われるが、相変わらず行なっている様に安心感と違和感が入り混じったえも言われる感情を抱く。
その変わらない部分というところで感心したのは、のび太の描き方である。
もちろんのび太のダメさは昔から変わっていないのだが、ダメさの意味合いについては現代的なアップデートが施されているように思う。
以前は「ダメなのび太でもいい部分がある」という方向でのび太を描いていたように思うが(一応今作でも早撃ちの件はある)、この映画では「のび太はダメだが、それも個性で受け入れていく」という視点で描かれていたように思う。
世の中はボディ・ポジティブなど、自分のありようをそのまま認める方向性になっており、そういった流れが取り入れられているのが新鮮で良い。
自分が映画版を見ていたときは、冒険の楽しさなどを全面的に押し出していて、そのつもりで見ていたのだが、思ったよりメッセージ性のある作品で面食らってしまう。
正直ジャイアンはもうちょっと活躍して欲しかったし、話も「ドラえもんだから」で飲み込まざるを得ないちょっと甘い部分もあるが、ツイストもあり、見せどころも抑えられていて、非常に楽しめる。