失われたもの

コインランドリーにて。

洗濯が終わり、衣類をたたんでいたのだが、片方がない靴下が現れる。

ついに来たかという感じである。


正直言って100円ショップで買った靴下なので、惜しいという感じではない。

しかし、片方がなくなる要因に全く心当たりがないのになくなる現象に出くわすのが久しぶりであるため、ランドリー内を隅々まで探してみる。

カバンの再チェック、床、洗った洗濯機の中、その周り、洗濯機と洗濯機の間、乾燥機、ランドリー内にしつらえてある落し物かご、あらゆるところを確認するが、やはりない。

諦めて家に帰ることにする。


帰り道、地面を睨め回すようにジロジロ探索しながら帰る。

家に帰って部屋の中を一通り漁ってみる。

やはりない。


失われた片方の靴下のことを思う。

お前は一体どこにいるんだろう。

部屋のなかで、自分の手元の靴下がお前の帰りを待っている。