ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーを観る

Universal Pictures Japan

アメリカでえげつなくヒットをしているという話を聞き、中身の評判も良さそうで、さらに自分はファミコン及びスーパーマリオブラザーズど真ん中世代なので、なんの躊躇もなく観に行くことにする。


自分が今まで観たゲーム原作の映画でパッと思い浮かぶのは(思い出すのも嫌な感じであるのだが)、ある意味金字塔を打ち立てた「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」である。

ドラクエRPGであり、物語を内包したゲームなので、映画にするモチベーションはわかる。

スーパーマリオはアクションゲームで、インタラクションの塊であり、スーパーマリオRPGという作品は一応あるが、物語や設定の部分は意図してぼやかしているんじゃないかと思っていた。

それを今回、映画という逃げ場のない状況でマリオを物語ろうという試みに、非常に興味をそそられていたわけである。

その意味でまず序盤からびっくりさせられたのだが、ニューヨークで配管工として働くマリオとルイージが描かれる。

あまつさえ家族まで登場する。

正直ここまで踏み込んでパーソナリティーを描くとは思っていなかったので狼狽する。

映画を見終われば、そこまで描くことの必然性を十分に感じることができるのだが、本当に思い切った描き方をしていると思う。


物語全体は非常にそつがなく作られている印象である。

突出した部分はないがツボはちゃんと抑えられていて、逆にマリオにまつわるゲームのフィーチャーをこれでもかと盛り込みながらそつがないというのは本当にすごい。

ルイージクッパドンキーコングなど主要キャラも過不足なく描かれていて、自分が思い描くキャラクター像をいい意味で全く裏切ってこない。

ピーチ姫に関して少し踏み込んだ話はあったが、いい具合にぼやかされている。

良くできている。


演出・絵作りも良い。

マリオをやっている時の爽快感を感じることができるし、マリオカートをもとにしたシーンもその面白みを十分に表現できている。

特に良かったのは、冒頭の2Dマリオを彷彿とさせる演出で、これもなかなか思い切った演出だと思う。


この映画には本当に満足する。

欠点がなく、安心して観ることが出来る、ここ近年では屈指のウェルメイドな映画である。