よく通うスーパーに声のでかい店員がいる。
ただ、威勢がいいとか、愛想がいいとかではなく、本当に単に声がでかいだけである。
そしてその店員は割引のシールが貼ってると、読み上げるタイプである。
ここはマニュアル化されていない部分のようで、読む読まないは店員による。
自分は積極的に値引きの商品を買うタチなので、あまり読み上げてもらいたくない。
その店員にレジを通してもらう際に「10%引きです」「5%引きです」「5%引きです」と抑揚乏しく言われて、周りの客に「あ、あいつケチなんだな」と思われかねない。
ケチであることは否定しないが、ケチと知られることはできるだけ避けたい。
そんなわけで、その店員のレジは、できるだけ避けている。
先日、スーパーがそこそこ混んでいたのだが、その店員のレジだけ妙に空いている。
内心、「ああ、みんなやっぱ避けるんだな」と思っていた。
自分も、空いてるとはいえ、そのレジは避けたかったので、買い忘れをした体で時間を稼ごうと売り場をもう一回回っていた際に、「レジ開いてまーす」という、その店員の抑揚のない大声が聞こえる。
手が空いたら積極的に仕事を作る。
「ああ、やる気はあるんだ」と少し感心する。
でも自分は他の店員にしたいので、もう少し歩き回っていたところ、「レジ開いてまーす」ともう一度聞こえる。
空いているとなれば、普通に並び替えるぐらいの混み具合だったのだが、それでも並び替える人がいなかったらしい。
気になって、その店員のレジを伺うと手持ち無沙汰で立っている。
「ああ、避けてるの俺だけじゃなかったんだ」という共感と、「え、そんなに避けられているの?」という驚きが同時に訪れる。
でも行く気にはなれない。
売り場を1周してレジのところに戻った際には、流石にその店員は割引の値札を読み上げていたが、ちょっと不憫に思えてくる。